B1の優勝争いを賑わせる「躍進」候補の3チーム 最注目はW杯のヒーロー、名将が加わったSR渋谷
島根は「継続路線」ながら上積みアリ
島根新加入のマーティン(左)は琉球時代に鮮烈なプレーを見せていた 【(C)B.LEAGUE】
ビュフォードは昨季だけで3度も月間MVPを受賞した198センチ・100キロのSFで、『Mr.トリプルダブル』とでも評するべきスタッツの猛者。良くも悪くも「自分がボールを持ちたがる」「コートから離れたがらない」タイプなのだが、局面の打開力、シュートのバリエーションや正確性は強烈だ。しかも来日から時間が経過するにつれて、年々バージョンアップを見せている。
206センチのPFニック・ケイも強烈な個を「糊のように選手同士をくっつける」存在として、極めて高い貢献度を示している。彼は「気配り」の名手でスクリーンをかける、パスを送るといった仲間を生かすプレーに強みがある。そんないぶし銀の働きが評価され、今夏のW杯はNBAのスターが揃うオーストラリア代表でも先発起用されていた。昨季は44.6%の3ポイントシュート成功率を記録していて、「DFを外に広げる」「インサイドアタックのコースを空ける」という役割も果たしている。
上積みとして楽しみなのがハッサン・マーティンの加入だ。2017-18シーズンは琉球に所属し、ルーキーながら圧倒的なパフォーマンスを見せていた。その後はヨーロッパの強豪でキャリアを積み、27歳で日本に戻ってきた。203センチ・109キロとセンターにしては小柄で、3ポイントシュートとも縁のないタイプだが、ゴール下の支配力・破壊力はB1でも別格。一言でいえば競り合いの強さ、跳躍力がずば抜けている。リード・トラビスと入れ替わった形だが、新たな島根の強みとなるだろう。
島根のプレータイムに偏りがある、特定の選手に依存するスタイルはリスクもある。ただウイングにも「3&D」(3ポイントシュートとDFに強みを持つタイプ)としてはB1でもトップレベルの晴山ケビンが加わり、陣容は厚みを増している。
宇都宮は実力者エドワーズ、ニュービルが加入
ニュービル(写真中央)はB1を代表するPGだ 【(C)B.LEAGUE】
今季はジョシュ・スコットが横浜BCに移籍したものの、元日本代表のギャビン・エドワーズが千葉Jから加入。35歳とベテランで、走力や跳躍力にはやや陰りを感じるところもあるとはいえ東地区王者の中心選手だった大物だ。インサイドの1枠が帰化選手で埋まり、さらに日本人ビッグマンの竹内公輔もいる。そんな編成の強みで、宇都宮は外国籍選手にD.J・ニュービルを獲得できた。
ニュービルはオフェンス力ならB1最高レベルのPGで、第4クォーターの勝負強さもおなじみ。大阪エヴェッサの3シーズンで、Bリーグへの適応も証明済みだ。1試合の平均得点は2021-22シーズンが23.0得点、22-23シーズンは19.4点と圧倒的で、年齢的にも31歳とキャリアのピークだ。ドライブのキレ、タフショットを決め切るスキルは目の肥えたブレックスアリーナの観客も魅了するだろう。
一昨季のCS制覇を支えた鵤誠司、遠藤祐亮、そして日本代表・比江島慎のバックコーチ陣は攻守に『鉄板』の顔ぶれで、昨季は高い守備力を持つ日本人ウイングの高島紳司も大東文化大から加わっている。エドワーズやニュービルがコートに立たない時間帯も、彼らが守備強度など別の強みを出して、レベルは一切落ちないはず。宇都宮のカムバックに期待するのは自然で、東地区も千葉JやA東京も含めた激戦になるだろう。