一芸に秀でた独立リーグのドラフト候補投手たち 「剛速球or高身長or若さ」が指名されるための必要条件
プロ3年目の今季、剛速球を武器にリリーバーとして阪神の優勝に貢献した石井大智は、四国アイランドリーグplus・高知で3年間プレーした後にNPB入りした 【写真は共同】
「トリドール杯 チャンピオンシップ」にNPB全球団のスカウトが集結!
NPBのドラフト会議が約1ヶ月後に迫っており、各球団のスカウトは各地で大学、社会人、独立リーグのドラフト候補を最終チェックしている。9月29日からは日本独立リーグ野球機構(IPBL)の所属5リーグの代表チームで独立リーグ日本一を争うグランドチャンピオンシップ(GCS)が開催され、出場チームの選手にとっては格好のアピールの場になるだろう。
果たして、今年はどのような選手がNPBの舞台に進むのか。独立リーグのドラフト候補選手を「投手編」「野手編」に分けて紹介する。
※図表および本文中の年齢表記はすべて該当年度の4月1日時点の満年齢(今年度の場合は2024年4月1日時点の満年齢)。
独立リーグの投手は「剛速球、高身長、年齢の若さ」が評価の軸
【筆者作成】
上の表は過去5年のドラフト指名投手の指名当時の情報をまとめたものだ。「球速が153キロ以上の報道があるか」「身長が185cm以上か」「年齢が20歳以下か」の3項目に当てはまる場合は丸をつけている。そして、3つの基準のどれかに5年間で指名された19投手中18人が当てはまっている。
例えば今年セ・リーグ優勝の阪神でリリーフとして活躍している石井大智はドラフト指名当時の最速が153キロと報じられていた。その他、長谷川凌汰、行木俊、石田駿が指名当時153キロの報道。西濱勇星、鎌田光津希、石森大誠は155キロだった。
身長に関して、昨年独立リーグから指名された4投手のうち3人は189センチの渡辺明貴、188センチの中山晶量、185センチの左腕・山本晃大と高身長だった。また、年齢については今春のWBCの代表にも選ばれた湯浅京己のように、当時の最速は151キロ、身長183センチと突出してはいないが、高卒1年目という若さに将来性を見出されるパターンがある。
もちろん球質、性格、リーグでの成績など多角的な評価はされているはずだが、過去の指名傾向からは「球速、身長、年齢」がNPB球団の指名リスト入りするか否かの土台だと考えられる。
四国には最速153キロ以上の投手が7人いる
【スポナビ野球速報データ等から筆者作成】
上記7名のうち、椎葉、内海、羽野紀希(愛媛)、平間凜太郎(高知)の最高球速は松山の坊っちゃんスタジアムでのものだった。坊っちゃんスタジアムはマウンドの土が硬いこと、球場常設の計測システムが一般的なスピードガンではなく映像から球速を測るタイプであることなどにより、他の球場より速く、正確な初速が出ると考えられる。宮澤、白川恵翔(徳島)、秋田有輝(高知)は坊っちゃんスタジアムでの登板がなく、松山で投げていたらもう少し球速が出ていた可能性もある。
白川と椎葉はともに22歳になる学年で、豊作と言われている大学生投手と同じ世代だ。坊っちゃんスタジアムでは9月2日から東都大学リーグの第一週が行われたが、ドラフト上位候補である下村海翔(青学大)が自己最速を2キロ更新する155キロ、同じく草加勝(亜大)も自己最速の153キロをマークした。西舘勇陽(中央大)や常廣羽也斗(青学大)も150キロ台半ばを計測したが、これらの投手と比べて、少なくとも最大出力で白川や椎葉は遜色ない数値を残しており、支配下、しかも上位で指名される地力はあるはずだ。
宮澤と内海は年齢こそ24歳ではあるが、リーグ戦での変化球の奪空振り率は宮澤がトップ、内海が3位と変化球も秀逸。22日の「トリドール杯 チャンピオンシップ」ではともに1イニングを無失点に抑え、球団関係者に能力を見せた。
また、最速152キロのため表にはいないが、若松尚輝(高知)と赤尾侑哉(香川)も注目したい。若松は速球とフォークが特徴。松山での登板がなく、投げていれば153キロが出ていた可能性もある。赤尾はストレートの奪空振り率が椎葉に次ぐ日本人投手2位となっており球質が良い。2人とも上のレベルで実力を試して欲しい投手だ。
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