レアル・ベティスが日本の子どもたち100人以上を指導「守備面を強化できれば、もっといい選手が出てくる」
千葉で行われた「レアルベティスキャンプジャパン」には日本の小中学生60人が参加。一人ひとりいいプレー、悪いプレーをレクチャーされ、有意義なキャンプとなった 【舩木渉】
「日本に常設の育成組織を作りたいくらい」
2日間とも午前と午後の2セッションが組まれ、1日目はピッチの横幅を広く使うための意識やポジショニング、そして縦の深さを取るために必要なプレーに重点を置いたトレーニングに。2日目は午前中に守備ブロックの中と外を使い分けるボールの動かし方やマークを外すための動き、スペースを作るための動きなどを確認し、午後にすべてを復習・活用するためのゲームを行なってキャンプを締め括った。
来日して指導にあたったアルバロ・セサル氏は「日本の子どもたちは非常に理解力が高いので、学んでいくスピードが速かったです」と語る。同氏はベティス・アカデミーで国際プロジェクトのコーディネーターを務めながら、世界各地で指導にも当たっている。
そうした経験から日本の子どもたちに攻撃面での大きなポテンシャルを感じているセサル氏は「ベティスとしては日本に常設のカンテラ(育成組織)を作りたいくらいです」と笑う。クラブが培ってきた攻撃サッカーの哲学に合致する選手を数多く見つけることができたようだ。
一方、セサル氏とともに来日したマノロ・ドミンゲス氏は「数的不利で守らなければならない時、どこにポジションを取るか、どこでボールを奪うかといった守備の戦術的な部分に最も成長を感じました」と述べる。
スペインでは、『サッカー選手』を育てている
指導にあたったアルバロ・セサル氏(中央)とマノロ・ドミンゲス氏(右)はいずれも日本の子どもたちのレベルに驚きながらも、改善の余地があると指摘した 【舩木渉】
ベティスは8月21日から22日にかけて茨城県内でもキャンプを開催しており、セサル氏とドミンゲス氏は短期間ながら総計100人以上の日本の子どもたちを指導した。彼らは今回の来日で日本人選手たちの強みや課題をどのように感じているのだろうか。
セサル氏は「スペインの同世代の選手と比べると、技術的な部分は同じかそれ以上だと思いますが、戦術面に大きな違いがあります」と語り、こう続ける。
「ベティスをはじめとしたスペインでは、『サッカー選手』を育てています。つまり攻撃だけ、守備だけではなく、子どもたちを総合的に伸ばそうとするわけです。サッカーにおいては攻撃的な選手も守備ができなければいけません。なので、子どものうちはパスやドリブルだけでなく、サッカーにおけるあらゆる要素をレベルアップさせて、サッカー選手を総合的な観点から育成します。
日本の子どもたちを見ると、文化や受けてきた指導の違いを感じますね。例えば、南米を見てみると、アルゼンチンやウルグアイからは球際に強く、競争力が非常に高い選手が多く出てきます。一方、ブラジルではストリートサッカーの文脈から様々な技やイマジネーションを持った選手が出てきます。
日本の文化を海外から見ると、非常に統率が取れていて、規律があり、礼儀正しいと感じることが多い。そうした文化的な背景があったうえで、日本の子どもたちは言われたことをしっかりやりますし、右足と左足の偏りがないよう日々練習しているからこそ、技術レベルが高くなる傾向があるのではないでしょうか」