プロ野球2023シーズン終盤戦の12球団見どころ

超大型補強も勝率5割ラインに喘ぐソフトバンク 「五冠王」誕生の可能性と下剋上へのキーマンは?

三和直樹

「五冠王」誕生の可能性あり

現在、打点と出塁率でトップを走る近藤。残り3部門でも逆転可能な位置に付ける 【写真は共同】

 一方の打線は、満足はできないまでも、見どころは多くある。特に近藤健介の奮闘ぶりは目を見張る。WBCの勢いのままに迎えたFA加入1年目の今季、6月から調子を上げ続けて8月は打率.365、7本塁打、19打点の大暴れ。今季通算で打率.306、21本塁打、73打点を誇っている。この数字だけを見れば、近藤にとっては“通常運転”と言えるかも知れないが、投高打低が顕著な今季においては、打率がリーグ2位、本塁打はリーグ3位、打点はリーグ1位であり、最高出塁率(現在断トツの出塁率.427)、最多安打(トップと10本差の125安打)を合わせて「五冠」獲得の可能性がある。

 近藤のタイトル獲得に期待すると同時に、来季以降を見据えた上でも求めたいのが若手野手の成長である。すでに昨季102試合に出場した24歳・三森大貴、同107試合に出場した26歳・柳町達だけでなく、24歳のリチャード、24歳の増田珠、23歳の正木智也、22歳の野村大樹と飛躍が期待される野手陣は多くいる。彼らの中から9月以降に爆発し、飛躍のキッカケを掴める選手は出てくるだろうか。

 その中で一人、注目したい選手が、プロ2年目の26歳、野村勇だ。1年目の昨季は97試合に出場して10本塁打を放ったが、今季はここまで34試合で2本塁打のみ。それでも8月末から三塁手としてスタメン出場を続けており、パンチ力のある打撃、スピード感あふれる走塁には大きな期待が寄せられている。この9月に結果を残せるかどうか。非常に大事な1カ月になる。

課題山積も狙うはCS舞台での下剋上

 チームを率いる藤本博史監督は、今季が2年契約の2年目になる。解決すべき課題は多く、次々と若手が結果を残して首位を快走しているオリックスとの違いも痛感する日々だ。それでもBクラスは許されない。残りシーズンの中でAクラスを死守することは最低条件であり、その後のCS舞台で“下剋上”での日本一を狙いたい。

 今後、主力の調子と若手の台頭ぶりを見極めながら、下剋上へのキーマンを探し当て、チームを戦える状態に持って行くことができるか。オリックスの背中は遥か遠い。だが、ここからどのような戦いをファンに見せられるかで、今季のチームに対する評価も、まだ変えることができるはずだ。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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