バスケW杯ドイツ戦を日本代表はどう戦う? “ベスト8級”の実力と特徴、キーマン
シュルーダー(右)はドイツの司令塔にしてリーダー 【写真:アフロ】
日本とドイツのバスケは過去にも様々な接点があった。ドイツ協会は日本バスケットボール協会と「パートナーシップ契約」を結んでいて、ドイツ協会のインゴ・ヴァイス会長はBリーグ発足に至る日本バスケ改革の立役者でもある。
2006年の世界選手権では初戦に対戦していて、このときはダーク・ノビツキー擁するドイツに70-81で敗れている。2019年のW杯は直前の強化試合で対戦し、31得点を挙げた八村塁の活躍などで日本が86-83と勝利した。
目標達成には「番狂わせ」が必要
また日本は8グループの中でも、特に厳しい組に入った。世界ランキングを見ても日本の35位に対してドイツが11位、フィンランドは24位、オーストラリアは3位だ。日本が「アジア勢最高成績を挙げて、パリ五輪の出場権を得る」という今大会のミッションを達成するためにはファーストラウンドで2勝、最低でも1勝は挙げておきたい。そのためには番狂わせを起こす必要がある。
早くから手掛けるドイツ対策
6月19日の記者会見でホーバスHCはこう語っている。
「最初の試合がすごく大事です。W杯の近くになったらフィンランド戦の準備もやりますけど、まずみんなの頭にドイツ(の情報を入れる)。ドイツ戦はすごく(番狂わせの)可能性があります。ドイツはインサイドばかりでなく、3ポイントシュートがよく入る。ペイントアタックもよくやる。ウチは速いバスケットをやりたいし、ポゼッションも増やしたい。ドイツも速いペースが好きだから、この試合はチャレンジだけど本当に楽しみです」
ドイツの実力は?
とはいえドイツは強敵だ。昨夏のEuroBasket 2022(欧州選手権)は準々決勝でヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)擁するギリシャを破りベスト4入り。準決勝は19年のW杯王者スペインに91-96で敗れたものの、3位決定戦でポーランドを下して3位入賞を果たした。W杯の欧州予選もスロベニア、フィンランド、エストニア、イスラエル、スウェーデンと同じ組に入り、10勝2敗で首位通過を果たしている。
今夏の強化試合を見るとスウェーデン、ギリシャなどに勝利し、優勝候補カナダとは1勝1敗のタイ。21日のアメリカ戦は91-99で敗れた。彼らにとっておそらく「仮想日本」である中国は107−58で一蹴している。実力的には今大会のベスト8以上まで進むレベルにある。
チームの核はシュルーダー
ドイツのバスケ界にとってレジェンドであるノビツキーが2015年に代表から引退した後、チームを引っ張ってきたのがポイントガード(PG)のデニス・シュルーダーだ。現在29歳で、昨シーズンはNBAロサンゼルス・レイカーズで八村のチームメートだった(※2023-24シーズンはラプターズに移籍/八村はW杯に不参加)。
レイカーズではレブロン・ジェームズという「主役」がいる中で、シュルーダーはロールプレーヤー(脇役)を担っていた。とはいえハイレベルの個人技、打開力を持つ選手で、ドイツ代表では彼がプレイメーカー、チームリーダーとなっている。
「シュルーダーをどう止めるか」が、日本にとって最大のポイントだ。マークはまず同じPGの富樫勇樹(千葉ジェッツ)、河村勇輝(横浜ビー・コルセアーズ)の仕事だが、原修太(千葉ジェッツ)が対応する時間帯もあるだろう。187センチ・96キロの原はどんな相手でもミスマッチにならないパワフルかつしつこい守備力の持ち主で、相手のキーマンを消す仕事で期待できる。
原修太は対キーマンの守備が期待される 【写真:松尾/アフロスポーツ】