バスケW杯ドイツ戦を日本代表はどう戦う? “ベスト8級”の実力と特徴、キーマン

大島和人

F・バグナーは208センチの万能選手

F・バグナーはNBAに加えて昨夏の欧州選手権でも活躍 【写真:ロイター/アフロ】

 もう一人の注目はフランツ・バグナー(オーランド・マジック)。208センチ・100キロの22歳でスキルが高く、3ポイントも得意な万能タイプのフォワードだ。17歳でドイツリーグの新人王を獲得したのちミシガン大へ進学。2021-22シーズンからNBAでプレーし、ルーキーのファーストチームに選出された世界的な有望株だ。昨季のNBAでは1試合平均18.6得点を記録している。

 F・バグナーはシュルーダーとともにドイツ代表の脅威となる。彼に対しては時間帯ごとに渡邊雄太、馬場雄大、原が対応することになるだろう。

 フランツの兄モリッツ・バグナー(211センチ・111キロ)もNBAで5年のキャリアを持つビッグマン。ダニエル・タイス(インディアナ・ペイサーズ)やヨハネス・フォウクトマン(オリンピア・ミラノ)とともにインサイドを構成する。

対ドイツの秘策は?

 対ドイツに限らず「どれだけポゼッション、攻撃回数を増やせるか」はバスケにおける勝利の大前提で、ホーバスHCもこう述べている。

「ドイツはオフェンスリバウンド(を競り)に結構行っているから、もしそこで大きく負けたら大変な試合になる。ポゼッションが大きく違ったら難しくなる」

 リバウンドの数でドイツを上回ることは率直に言って難しいだろうが、センター(C)のジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)や川真田絋也(滋賀レイクス)が五分近くまで渡り合うことは、番狂わせの条件だ。

 W杯に向けた強化試合を見ていて、日本代表は明らかに攻守とも「手の内」を隠していた。特に守備の部分では“秘策”があるだろう。6月の会見でホーバスHCはこんなことも口にしていた。

「この合宿では色々と新しいディフェンスをやっている。ドイツのために」

 チームがどんなディフェンスをやってくるかは読めないが、それなりの奇策もあるはずだ。トラップ(ダブルチーム)や、ビッグマンが相手の3ポイントシュートに対応した後のローテーションは当然ながら重要なポイントとなる。

 ドイツは明らかに格上、強敵だ。しかしそういう相手を倒せれば、日本バスケの歴史は変わる。東京オリンピックで女子日本代表が見せた躍進に、男子も続きたい。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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