「山形ではずば抜けていた」サッカー少年・神谷優太 やがてプロになり、清水エスパルスで故郷のチームを迎え撃つ

田中芳樹

2年連続、国立に名を刻む

国立では2年連続ゴール。大一番の強さを発揮 【(C)J.LEAGUE】

 今季の神谷を語る上で欠かせないのは、7月16日に行われた第26節千葉戦だろう。国立競技場で行われた試合は、47,628人を集めた清水にとっては大事な試合になった。試合前から川淵三郎初代チェアマン&野々村芳和現チェアマンのトークショー、電気グルーヴのライブ、清水翔太さんの国家独唱など、様々なイベントが行われたが、サポーターを最も沸かせた1人は神谷で間違いない。

 15分、北爪健吾のクロスはディフェンスに跳ね返されるが、こぼれ球を拾った神谷がワンタッチから右足一閃。強烈なミドルシュートが、ゴール右隅に決まって清水が先制点を奪うことになった。

「たまたまボールが転がってきました。もちろんシュートが入ったので良かったですが、やっぱり勝ちたかったですね」

 先制からわずか2分後に同点ゴールを決められ、さらに47分には逆転ゴールを許してしまう。66分にベンジャミン コロリのゴールが決まって追いつき、清水は終盤にかけて決定機を何度も作ったが、勝ち越しゴールを決めることはできず。オリジナル10同士の対決は勝ち点1を分け合うことになった。

 それでも、神谷はそのゴールで国立2試合連続ゴールとなった。昨季、横浜FMと対戦した清水の「クラブ創設30周年記念マッチ」では1点ビハインドとなった13分に、ディフェンスの裏に抜け出して一時同点となるゴールを決めている。

「今年も何となく決める予感はしてたんですけど、まさかそんなことはないだろうって。でもみんなからも試合前に『決めそうだね』みたいに言われていました。実際ゴールを決めて、大一番にそんなに強かったっけ?って思うぐらいびっくりしていますね」

前回対戦は悔しさも

故郷で勝利を飾れず。今節リベンジを誓う 【(C)J.LEAGUE】

 清水にとって大一番は、これから先にもある。神谷にとっても、9月9日に行われる第34節山形戦もその1つだろう。

 アウェイでの対戦には苦い思いがある。42分にチアゴ アウベスのクロス性のボールが直接ゴールに飛びこむ不運な形で先制され、後半開始直後にはイサカ ゼインにも決められて2点のリードを許してしまう。さらに、神谷は58分に負傷交代。試合は78分に白崎凌兵が1点を返したが、アウェイで痛い1敗。故郷で輝くことができなかった。

 山形戦に向けて、神谷は意気込みを語る。

「もちろん山形が相手というところもありますし、前回は最後まで出られなかったという悔しさもあります。またチームとしても1度負けた相手ということで、ダブル(2連敗)は絶対に取られたくありません。残り試合も少なくなってきて、ここからは負けたチームが優勝争いから少しずつ脱落していくと思います。自分たちは毎試合毎試合、決勝戦の気持ちでやっていかないといけないと思います」

 そのためには、サポーターの存在がモチベーションになるという。

「サポーターと一緒に喜び合いたいし、勝った時のサポーターの喜んだ顔って、また特別だと思っているんですよね。しかも、エスパルスのサポーターは勝ったときはめちゃくちゃ喜ぶんですけど、負けたときは厳しいブーイングをするじゃないですか。お互い直接やり合ってる感じがあるなって。お互い成長したい気持ちとか、チームを強くしたい気持ちをすごく感じています。本当にファミリーだと思いますね」

 今季ここまで、出番が多いとは言えない。しかし、試合に出れば結果を残す自信はある。背番号7がサポーターの前に姿を現したとき、その彼はサポーターの期待通りの活躍をしてくれるはずだ。

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