節目の年の「ソナエルJapan杯2023」がスタート! Jリーグとヤフーの強みを掛け合わせた共同企画で防災意識のアップデートを

宇都宮徹壱

関東大震災から100年とJリーグ30周年の節目

長崎が2連覇を達成した昨年の「ソナエルJapan杯」。西田氏によれば、今年は60位までランキングを発表する予定で、これまで以上の盛り上がりに期待したい 【(C)VVN】

 西田氏と辻井氏の言葉から、ソナエルJapan杯の座組はご理解いただけたと思う。ネット上に巨大なプラットフォームを持つヤフーと、全国60クラブが各地域に根差したJリーグ。両者の強みが掛け合わさることで、楽しみながら防災知識のアップデートができるのがソナエルJapan杯なのである。過去2回の実施を踏まえて、今回の「ソナエルJapan杯2023」はどうなるのか、西田氏に聞いた。

「これまで2回実施して、ヤフー防災模試を届けられなかった層にリーチできたのは大きな成果であり、Jリーグさんのおかげだと思っています。今後の課題としては、どうやって参加人数をさらに増やしていくか。やっぱり、クラブとサポーターの距離感は大事だと思うので、そこの部分を生かしながら、さらに盛り上げていきたいですね。それから前回までは、予選上位クラブが決勝ラウンドに進出する形でしたが、今回からは最後まで競い合っていただき、60位までランキングを発表する予定です」

 防災といえば、今年は関東大震災発生からちょうど100年。そしてJリーグは1993年の開幕から30周年を迎えた。節目の年を迎えるにあたり、決して明るいとは言えない未来に向けて、最低限の準備をする必要性を辻井氏は説く。

「Jリーグはこの30年、地域に根付くという方向性で歩んできました。地域密着というのは今後も変わらないですが、さまざまな環境変化への対応を考える必要があると思います。気候変動は2030年代のキーワードですから、今後7年間の取り組みは人類にとっても非常に重要になってきますし、日本では南海トラフ巨大地震や首都直下型地震がいつ起こってもおかしくない状況です。だからこそ今回の取り組みによって、災害に対する人々の行動変容を促していきたいと思います」

サッカーと同じで練習していないことは──

サッカーも応援も、きちんとした準備なくして本番には臨めない。いざという時に備えて日頃から防災を意識したいが、その一助となるのが「ソナエルJapan杯」だ 【Getty Images】

 Jリーグとヤフーの共同企画、ソナエルJapan杯2023は8月8日からスタート。果たして、長崎の3連覇はなるのか? それとも、新たなチャンピオンが誕生するのか? 最後に、西田氏と辻井氏のメッセージを紹介して、本稿を締めくくることとしたい。

「実は『Yahoo!きっず』というサイトでも、小学生向けに『生き抜く力』というテーマで防災の知識を伝えるようにしています。自然災害が多い国ですから、大人であれ子どもであれ、そうした知識は必須と考えます。実際に災害の当事者となった時に、迅速かつ的確に行動するためにも、ご自身の防災の知識を定期的に見直していただきたいですね。ソナエルJapan杯に参加すれば、そうした知識のアップデートにつながりますので、ぜひご参加いただければと思います」(西田氏)

「Jリーグの理念に『豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与』というものがあります。その土台となるのが、安全安心で安寧な社会であり自然環境です。Jリーグの試合では、いつもファン・サポーターが一糸乱れぬ素晴らしい応援を見せていますが、それはきちんとした準備があってできること。そうした準備の中に、ぜひ防災も加えていただきたいです。サッカーと同じで、練習していないことは、本番でもできないですから」(辻井氏)

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著者プロフィール

1966年生まれ。東京出身。東京藝術大学大学院美術研究科修了後、TV制作会社勤務を経て、97年にベオグラードで「写真家宣言」。以後、国内外で「文化としてのフットボール」をカメラで切り取る活動を展開中。旅先でのフットボールと酒をこよなく愛する。著書に『ディナモ・フットボール』(みすず書房)、『股旅フットボール』(東邦出版)など。『フットボールの犬 欧羅巴1999−2009』(同)は第20回ミズノスポーツライター賞最優秀賞を受賞。近著に『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』(エクスナレッジ)

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