仙台育英の最強投手陣、花巻東の怪物スラッガー佐々木麟太郎…東北6県の甲子園出場校が誇る「武器」とは?
日大山形(山形) 2年ぶり19回目
伝統的に強い打力も売りだが、一冬を越えて急成長したエース・菅井の存在が頼もしい。4試合に先発した山形大会では準決勝で7回完封し、決勝では9安打を許しながら9回を投げ切った 【YOJIJ-GEN】
183センチのエース・菅井颯(3年)は、2年冬を越えて台頭してきた最速147キロ右腕。冬場の体づくりで体重が7キロほど増え、ロッテ・佐々木朗希を参考にしたという左足をダイナミックに上げる投球フォームもマッチし、球速を上げた。カウントによって投げ分けるスライダーも精度が高い。春の県大会準々決勝では酒田南から12三振を奪った。夏の県大会では度胸満点の1年生・本田望が3試合でリリーフし、佐藤大清(2年)が準々決勝で先発している。
伝統の打力が健在だ。春の県大会は全4試合で二桁安打を記録した。夏の山形大会のチーム打率は.322。4番・遠藤海星(2年)、1番・清野隆之輔(2年)、5番・沼澤塁人(2年)がアーチをかけており、3番・大高海斗(3年)は全試合で安打を放っている。6番に入る鈴木一槙(3年)が打率.529で、8番の菅井が打率.462、6打点と下位も侮れない。
仙台育英(宮城) 2年連続30回目
センバツ出場校同士の対戦となった東北との県準々決勝で、湯田(右)は5安打完封。旧チームから正捕手を務め、強力投手陣をリードする尾形(左)は打撃も好調だ 【写真は共同】
5試合で51得点、失点はわずか2。3試合がコールド勝ちで、決勝は18-0とスコアだけを見れば難なく甲子園にたどり着いた印象だが、「優勝旗を全員で返しに行く」というプレッシャーの中での戦いだった。
5人の投手はいずれも直球が140キロを超える。高橋煌稀(3年)は制球力と経験値で安心感を与えるエースで、コンスタントに150キロ台を出すようになった湯田統真(3年)は大事な一戦となった東北との準々決勝を5安打完封した。春から信頼度を上げている田中優飛(3年)、ポテンシャルの高い仁田陽翔(3年)、成長著しい武藤陽世(2年)はいずれも左腕。宮城大会でのチーム防御率は0.23だった。
1年間の課題だった攻撃力も高まっている。2番・山田脩也主将(3年)の.615を筆頭に、1番・橋本航河(3年)、3番・湯浅桜翼(2年)の上位が軒並み高打率をマーク。斎藤敏哉(3年)が2本塁打を放ち、尾形樹人(3年)が決勝で6打点と爆発した。投打を噛み合わせ、甲子園でも一戦必勝を誓う。
聖光学院(福島) 2年連続18回目
破壊力十分の打線を引っ張るのが、主将も務めるリードオフマンの高中。遊撃守備にも定評がある 【YOJIJ-GEN】
チームを引っ張る高中一樹主将(3年)は、県大会を通じて打率.615・12打点をマークした1番打者。決勝では二塁打2本に三塁打1本で6打点を挙げ、チームに勇気を与え続けた。クリーンナップも強力で、3番・杉山由朗(3年)が14打点、4番・三好元気(3年)が打率.500、5番・樽川遥人(3年)は決勝こそ無安打だったが、準決勝まで打率6割を超えた。バントや足を使った攻撃もそつがない。
投手陣は例年のような「エース」はおらず、5回コールド勝ちだった3回戦で星名竜真(3年)が投げ切った以外は3人から4人の継投だった。エースナンバーを背負った左腕・安齋叶悟は緩急をつけた投球が持ち味で、左横手の小室朱生(3年)はテンポのいい投球を見せる。北沢慶汰(3年)と高野結羽(2年)の両右腕は球威がある。
(企画・編集/YOJI-GEN)