バスケW杯に向けて台頭が期待される新戦力 「U22世代」の富永啓生、金近廉が見せる成長と理由

大島和人

金近は「練習生」として弱点克服に取り組む

金近は2月のW杯予選で代表デビューを飾り、大活躍を見せた 【写真は共同】

 金近は今年4月5日に東海大中退と、千葉ジェッツ入りを発表したスモールフォワード(SF)。インサイド、アウトサイドのプレーを高レベルで両立させるオールラウンダーだ。Bリーグの登録期限は過ぎていたため、2022-23シーズンの終盤は「練習生」の立場でチームに帯同していた。彼はそんな“下積み”をこう振り返る。

「すぐBリーグに出て活躍できるとは思っていないので、準備期間としてすごくいい時間だった。トレーニングに関しては、全体的なベースのアップもしましたけど、自分が弱いところを改善できるようにやってもらっていました」

 試合はそれ自体が大切なトレーニングだが、戦術の理解と定着には時間が必要だ。チームが出来上がったシーズン終盤に合流しても、適応はなかなか難しい。20歳としてみればフィジカル、スキルともレベルの高い金近だが富永と同様にまだ“仕込み”は必要だった。

 具体的には「お尻がうまく使えていなかったり、肩があまり安定しなかったり」という課題があった。彼は千葉ジェッツのトレーナーが組んだ個別プログラムにしたがって、身体の動作、操作の改善に取り組んだ。筋力などの数値も、千葉合流後に上がっているという。チームの登録は「196センチ・84キロ」だが、本日のコメントによると現在95キロ。ちなみに2月のイラン戦の時には「91キロ」と口にしていたので、4カ月で4キロ体重が増えた。

 試合に登録できない立場だったが、チャンピオンシップに向けたチームとトレーニングをともにした。今村佳太(琉球ゴールデンキングス)や安藤周人(アルバルク東京)のような仮想相手チームのエース役を務めたこともあった。彼はこう振り返る。

「動画を練習前に全員で見てからやるので、イメージしながらやりました。完全な真似はできないですけど、それぞれに特徴があってすごいプレーをされているので、しっかり自分も見習ってやっていかないとなと(考えた)」

競争から抜け出すために

 ウイング(SG/SF)のポジションは富永や馬場以外にもそれぞれの強みを持つ選手が多く、ホーバスジャパンにおける最激戦区だ。金近はそんな競争についてこう述べる。

「メンバー的には一番厳しい狭き門で、そこは自分も理解しているつもりです。でもここに懸けてこの2、3カ月やってきているので、本当にそこ(W杯メンバー入り)を何としてもつかみたい。サイズ的には(ウイングで)一番で、吉井(裕鷹)さんと同じですが、相手には2メートルある、それを超える選手が2番(SG)や3番(SF)にいる。自分はディフェンスや、オフェンスも上から打てるところがあるので、そういうアドバンテージを生かしたい。あとリバウンドが日本は弱いので、そこで自分が外から絡むだけで変わってくると思う」

 金近は両親が揃ってバレーボールの選手で、父・潤さんはVリーグ「NTT西日本レグルス」でもプレーしていた183センチのレフトプレーヤー。FIVBネーションズリーグで快進撃を見せるバレーボール男子日本代表については「競技が違いますけど、刺激というか、日本のバスケットもそうなればいいと思います」と口にしていた。

 日本代表は7月8日のチャイニーズ・タイペイ戦を皮切りに、大会直前の8月19日に開催されるスロベニア戦まで、計9試合の公開の強化試合を組んでいる。2カ月という期間と9回の国際試合はチーム、特に若手選手が「化ける」ためには十分なボリュームだ。

 W杯は2024年に開催されるパリ五輪の予選も兼ねていて、突破の条件はアジア勢最高成績。日本が目標を達成できるかどうかは富永、金近のような“成長期”にある選手たちがどれだけ伸びるかに懸かっている。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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