選手ベンチに乱入者、メインコートの匂い問題…… 世界卓球初開催・南アのゆるーい試合会場
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初の南アフリカ開催には世界選手権の大会規模縮小も影響
会場のダーバン・インターナショナルコンベンションセンター 【Photo by VCG/VCG via Getty Images】
背景には、2021年大会以降の開催規模縮小がある。現時点でITTFへ加盟する国や地域の協会数は227。これは国際競技連盟の中でも最多となっており、サッカーや陸上よりも多い。2019年大会までは予選などがなく、加盟協会であれば自由に(1協会あたりの出場者数の制限はあるが)世界選手権へ選手を出場させることができた。一方で加盟協会の増加とともに、世界選手権の開催規模はどんどん大きくなっていた。
もちろん、多くの参加チームから選手が一堂に集って世界選手権を戦うのはすばらしい話だ。その反面、大会規模の拡大につれて、開催地への立候補は限られた国に絞られていった。ドイツやフランス、スウェーデン、中国、日本など卓球が人気で、運営能力の高い「卓球大国」のみになっていた。開催できる協会が限られてしまうことは、卓球のメジャー化、国際化を進めるうえで懸案事項のひとつとなっていた。
ITTFは2021年大会から大陸予選を行い、本大会の出場枠を絞ることを決定。参加選手数が限定・縮小され、世界選手権開催の負担は大幅に軽減した。今回の南アフリカのような協会でも、世界選手権を開催しやすくなった。
試合直前まで準備中、試合中もハプニング
張本智和(右)は同地で開催された7年前の世界ジュニア選手権を制している 【Photo by VCG/VCG via Getty Images】
2010年に南アフリカで開催されたFIFAワールドカップでも「大会1週間前なのに道路も会場もまだ工事中」などというニュースをよく目にしたが、まさにそんな具合だ。ちなみに、選手に聞くと「練習場内はよく鳥が飛んでいる」とのこと。メディアセンターでも、天井裏からずっと鳥のさえずりが聞こえる。
試合中のベンチに入り込んだ老人、スタッフに見つかる 【写真:卓球王国】
当然、申裕斌のベンチコーチは隣に座った謎の老人に「…誰?」という表情を浮かべる。しかし、そのコーチも試合を止めるわけにもいかず、気にしないそぶりでアドバイスを送り、ゲームとゲームの間になって会場のスタッフを呼ぶと、老人はあえなく退場。どういった経緯でフロアに入り、どうしてベンチに腰を下ろしたのかはわからないが、なんとなく「南アフリカっぽいな」と感じてしまう一幕ではあった。
匂い問題の発生源は、メインアリーナのすぐそばにある調理場 【写真:卓球王国】
照明や音響、カメラスタッフも空き時間にコートサイドで食事をするため、午後や夜になるとフロアには食べ物の匂いが充満し、「選手は気にならないのか」と要らぬ心配をしてしまった。他、練習場と通路を区切るパーテーションが突如ドミノのように倒れていく一幕も目にしたが、今まで取材で経験したことのない事件の数々に、ここから最終日までどんなハプニングが起きるのか、ちょっと楽しみですらある。