選手ベンチに乱入者、メインコートの匂い問題…… 世界卓球初開催・南アのゆるーい試合会場

月刊『卓球王国』
 5月20日より南アフリカ・ダーバンで開催されている世界卓球選手権個人戦。アフリカ大陸での世界選手権開催は1939年のエジプト大会以来、実に84年ぶりとなっている。南アフリカでは初の世界選手権開催となっているが、同国は2016年に世界ジュニア選手権を開催している。この大会では当時13歳の張本智和が史上最年少で男子シングルス優勝、さらに男子団体も制して二冠を達成。女子団体でも伊藤美誠、平野美宇、早田ひなを中心に戦った日本が頂点に立った。つまり今大会に日本代表として出場する選手たちが躍動しており、日本にとっては縁起の良い開催地かもしれない。今回は初めて世界選手権を開催中の南アフリカ・ダーバンから会場の様子をお届けしていく。

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初の南アフリカ開催には世界選手権の大会規模縮小も影響

会場のダーバン・インターナショナルコンベンションセンター 【Photo by VCG/VCG via Getty Images】

 はっきり言えば、南アフリカは「卓球が盛んな国」ではない。世界上位で活躍する選手はおらず、競技人口もアジアやヨーロッパに比べてはるかに少ない。しかし、南アフリカ・ダーバンは2020年に行われたITTF(国際卓球連盟)の年次総会で、卓球強国のドイツ・デュッセルドルフを倍以上の票数で破り、今回の世界選手権の開催地として決定された。

 背景には、2021年大会以降の開催規模縮小がある。現時点でITTFへ加盟する国や地域の協会数は227。これは国際競技連盟の中でも最多となっており、サッカーや陸上よりも多い。2019年大会までは予選などがなく、加盟協会であれば自由に(1協会あたりの出場者数の制限はあるが)世界選手権へ選手を出場させることができた。一方で加盟協会の増加とともに、世界選手権の開催規模はどんどん大きくなっていた。

 もちろん、多くの参加チームから選手が一堂に集って世界選手権を戦うのはすばらしい話だ。その反面、大会規模の拡大につれて、開催地への立候補は限られた国に絞られていった。ドイツやフランス、スウェーデン、中国、日本など卓球が人気で、運営能力の高い「卓球大国」のみになっていた。開催できる協会が限られてしまうことは、卓球のメジャー化、国際化を進めるうえで懸案事項のひとつとなっていた。

 ITTFは2021年大会から大陸予選を行い、本大会の出場枠を絞ることを決定。参加選手数が限定・縮小され、世界選手権開催の負担は大幅に軽減した。今回の南アフリカのような協会でも、世界選手権を開催しやすくなった。

試合直前まで準備中、試合中もハプニング

張本智和(右)は同地で開催された7年前の世界ジュニア選手権を制している 【Photo by VCG/VCG via Getty Images】

 以上のような経緯もあって南アで開催されている世界選手権だが、会場の様子はというと…なんだかおおらかだ(ユルいとも言える)。競技初日の5月20日、第1試合がスタートする2時間前に会場に到着してメディアセンターに向かうと、地元の業者と思われる方々がテーブルに電源を引く作業の真っ只中。下見のため、競技フロアに降りてみても照明やコート周りでも絶賛作業中だった。

 2010年に南アフリカで開催されたFIFAワールドカップでも「大会1週間前なのに道路も会場もまだ工事中」などというニュースをよく目にしたが、まさにそんな具合だ。ちなみに、選手に聞くと「練習場内はよく鳥が飛んでいる」とのこと。メディアセンターでも、天井裏からずっと鳥のさえずりが聞こえる。

試合中のベンチに入り込んだ老人、スタッフに見つかる 【写真:卓球王国】

 かくして競技は始まったのだが、大会初日からちょっとした事件に遭遇する。それは決勝など注目カードを行うメインコートで韓国女子の新星・申裕斌が試合を行っていた際に起きた。試合中、フロアにフラフラと観客と見られる老人が現れたと思うと、おもむろに申裕斌のベンチにあるソファに腰を下ろし、「特等席」で試合観戦を始めたのだ。

 当然、申裕斌のベンチコーチは隣に座った謎の老人に「…誰?」という表情を浮かべる。しかし、そのコーチも試合を止めるわけにもいかず、気にしないそぶりでアドバイスを送り、ゲームとゲームの間になって会場のスタッフを呼ぶと、老人はあえなく退場。どういった経緯でフロアに入り、どうしてベンチに腰を下ろしたのかはわからないが、なんとなく「南アフリカっぽいな」と感じてしまう一幕ではあった。

匂い問題の発生源は、メインアリーナのすぐそばにある調理場 【写真:卓球王国】

 また、時間が経つにつれて、このメインコートには「匂い」の問題があることも発覚する。メインコートを出てすぐのところに調理場があり、ここでスタッフのケータリングやフードコートで提供する料理などを調理するため、その匂いがコートへと流れ込んでくるのだ(カレーの時はすぐにわかった)。

 照明や音響、カメラスタッフも空き時間にコートサイドで食事をするため、午後や夜になるとフロアには食べ物の匂いが充満し、「選手は気にならないのか」と要らぬ心配をしてしまった。他、練習場と通路を区切るパーテーションが突如ドミノのように倒れていく一幕も目にしたが、今まで取材で経験したことのない事件の数々に、ここから最終日までどんなハプニングが起きるのか、ちょっと楽しみですらある。

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