村田諒太『折れない自分をつくる 闘う心』

他者評価に振り回され、得られなかった“自己肯定感” 村田諒太はゴロフキン戦でアプローチをこう変えた

村田諒太
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村田はロンドン五輪金メダルの前年に、世界選手権で悔しい経験をしていた 【Photo by Paul Gilham/Getty Images】

村田諒太 プロボクサー引退後、初の著書

「強さとは何か」を追い求めてきたボクサー村田諒太の『世紀の一戦』までの半年間を綴ったドキュメンタリー。
コロナ禍で 7 度の中止・延期という紆余曲折を経て、最強王者ゴロフキンとの対戦に至るまでの心の葛藤、スポーツ心理学者の田中ウルヴェ京さんと半年間にわたって続けてきたメンタルトレーニングの記録、虚栄や装飾のないありのままの村田諒太を綴った一冊から一部を抜粋して公開します。

自己肯定感

 いよいよ3月に入った。左肘の痛みは残っていたが、スパーリングも2週間ほど休んだだけで再開していた。メキシコから来た2人(ミサエル・ロドリゲスは21年末で帰国していた)も晩秋から冬、春と日本の色とりどりの四季を経験するほど、長期にわたって僕の調整に力を貸してくれていた。

 僕はスパーリングと並行してゴロフキンの研究に余念がなかった。試合映像は19年10月にIBF王座に返り咲いたセルゲイ・デレビヤンチェンコ(ウクライナ)戦をよく見ていた。ゴロフキンが非常に苦戦し、3―0の判定ながら辛くも勝利した試合だ。

 映像を見ている分には、とてつもない脅威を感じることはなかった。たしかに相変わらずパンチ力はありそうだし、ペースメークや間合いのコントロールも覚えてボクシングの幅は広がっている。それでも勝機はあるように思えた。相手のパンチをしっかり防いで、ボディーを攻めて下がらせる展開をつくる。僕の方に分があると思えるスタミナ勝負の展開に持ち込めば、チャンスはある。
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