開幕から連敗スタートとつまずきながら、ここにきて2連勝と上昇気流に乗ってきた京都に対して、まだ勝利がなく（1分け3敗）、内容的にも攻守両面でちぐはぐな横浜FC。対照的な両チームの対戦ですが、意外にロースコアの堅い試合になるかもしれません。

　昨季、選手として対戦した時から、京都はとてもいいチームだと感じていました。曺貴裁監督は選手の能力を最大限に引き出す術に長けた方で、サッカーのトレンドにも敏感。今季は「ハイプレス＆ハイライン」に、積極的にトライされているように見えます。

　ただ、前節の湘南戦の2点目もそうでしたが、自陣でボールを奪ってからの鋭いカウンターが一番の武器で、どちらかと言うと相手にボールを握られた方が、京都の良さは出ると思うんです。しかし、この試合は京都がボールを握らされる展開になると思うので、逆に難しい試合になる可能性があるのではないかと。

　拮抗した状況を打破する選手として期待するのが、FWの木下康介選手です。元々ポテンシャルは高く、ドイツなど海外でのプレー経験も豊富。京都加入1年目の今季は2試合に先発出場して1得点・1アシストと、周りの選手も生かしながらしっかりとゴールに絡んでいます。彼は今季のブレイク候補の1人でしょうね。

　一方の横浜FCに今、必要なのは「戦える選手」だと思います。ここまで不用意なミスからの失点があまりに多いですが、それ以上に気になるのが、点を取られた後のリアクション。1点取られただけで意気消沈してしまって、ミスをした選手に誰かが駆け寄って声を掛けるようなシーンもほとんど見られませんからね。

　そこで奮起を望むのが、僕の浦和時代の後輩でもある岩武克弥選手です。キャプテンで同じセンターバックのガブリエウ選手が前十字靭帯断裂で長期離脱となっただけに、なおさら副キャプテンでもある彼には、ディフェンスリーダーとしての自覚をもってプレーしてもらいたいんです。

　ただ、横浜FCもホームで意地を見せたいでしょうが、現在のチーム状態を考えても、今回は京都が1-0で競り勝つと予想します。京都にとっては、ボールを握らされて難しい試合展開になるかもしれません。それでも、スコア以上に内容的には大きな差が生まれると見ています。