連載:センバツ2023の主役を探せ!

大阪桐蔭は今年も強いのか? 野手が総入れ替えでも「神宮連覇」の偉業

沢井史
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初優勝した21年大会に続いて、昨年も明治神宮大会を制した。エース前田を中心に、秋の王者としてセンバツ連覇に挑む 【写真は共同】

 センバツ連覇がかかる大阪桐蔭は、やはり今大会で最も注目されるチームの1つだろう。昨夏の甲子園を経験しているのは、エースの前田悠伍(3年)と内野手の村本勇海(3年)の2人だけだが、前チームに続いて明治神宮大会で優勝を飾り、秋の覇者として甲子園に乗り込む。今年のチームも強いのか。公式戦無敗のままセンバツを制した昨年のチームと比較して、仕上がり具合はどうなのか。

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エース前田は最後の最後に本領を発揮できる

前チームからエース格で、新たに主将に就任した前田は文字通りチームの大黒柱だ。昨秋は本人が言うように本調子ではなかったが、重要な試合ではさすがの投球を見せた 【写真は共同】

 昨春の覇者としてだけでなく、高い戦力がどう機能していくのか、その一挙一動に毎年注目が集まるのが大阪桐蔭だ。今年は前チームから投手陣の柱としてマウンドに立ってきたエース左腕の前田悠伍投手が健在。前田は現世代でも圧倒的な経験値の高さを誇る。

 昨秋の近畿大会で優勝、さらに各地区のチャンピオンが集った明治神宮大会でも優勝。明治神宮大会は2連覇を果たした。2年連続でその中心にいた前田が、今年のチームでもやはり軸になる。最速148キロのストレートに、スライダー、チェンジアップ、ツーシームなどを自在に操る。どの球種でもストライクが取れて、勝負どころでの抜群の制球力、そしてフィールディングの良さも目を見張るものがある。

 だが、昨秋は大阪府大会から状態が上がらず、フォームがやや崩れ、制球に苦しむ場面もあった。昨秋のピッチングを本人に振り返ってもらうと、「良いところがほとんどなかった」などと厳しい言葉が並ぶ。それだけ思うようにいかなかった試合が多かった。

 昨春のセンバツ、夏の甲子園、秋は栃木国体と、フル稼働したことで勤続疲労がなかったといえば嘘になる。頼りにされる存在だったからこそ、どんな時でも最高のパフォーマンスをしなければ、という本人の強い責任感もあった。

 それを踏まえて昨秋の公式戦の成績を見ると、前田の“決勝キラー”ぶりが目につく。大阪大会決勝では履正社を相手に7-0(7安打完封)、近畿大会決勝では報徳学園に1-0(3安打完封)。実力校を相手に圧巻のピッチングを見せた。さらに明治神宮大会決勝の広陵戦では6回からマウンドに登り、3安打7奪三振、無失点と相手をまったく寄せつけなかった。最後の最後に本領を発揮できるのはさすがと言える。
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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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