ラミレスが共同代表の「働くプロチーム」 アイスホッケー横浜GRITS、3年目の大前進

平野貴也

【写真提供:横浜GRITS】

 プロのスポーツチームでありながら、選手やスタッフがそれぞれ別の仕事を持つ。「デュアルキャリア」と呼ばれる二足の草鞋に挑戦しているアイスホッケーの横浜GRITS(グリッツ)は、3月5日のホームゲームで3年目のシーズンを終えた。

 チームが発足したのは、2019年。翌20年からアジアリーグに参加したが、1年目は、コロナ禍による不戦勝を除けば全敗。21年は、前期で2勝を挙げるのが精一杯だった。しかし、2022-23シーズンは、それまで未勝利だったホームゲームで2連勝を飾る好スタートを切り、23年2月には初の3連勝。最終日には、初の完封勝利で過去最多11勝を挙げ、初めて最下位を脱出して6チーム中5位となった。

 最終日は、過去最高1,386人の観衆を記録。初代主将のDF菊池秀治(36歳)とともに今季で引退するFW氏橋祐太(34歳)は「ファンこそが、GRITS(※チーム名は「やり抜く力」の集合体を意味する)だなと思っている。負ける方が多いチームを応援し続けるのは、並大抵ではない。多くの人に来てもらい、声をかけてもらって幸せな瞬間だった」と、ともに歩んできたファンと最終戦で喜びを共有できた充実感を言葉にした。

デュアルキャリア前提の浸透、着々と戦力補強

22年世界選手権の日本代表DF簑島も加入 【筆者撮影】

 目標としていたプレーオフ進出(4位以上)は果たせなかったが、過去2シーズンから明らかに進歩した。1、2年目は、米国挑戦中の日本代表主力FW平野裕志朗(27歳)がコロナ禍の帰国期間に加入しても勝てなかったが、今季はリーグで競争力を持つことができた。

 成績向上に大きく貢献したのは、新加入FW陣。昨シーズン開幕前に加入した鈴木ロイ(26歳)が15得点16アシストでチーム最多得点。外国籍選手のアレックス・ラウターが13得点とリーグ6位タイとなる27アシストで貢献。守備陣でも今季開幕前に22年世界選手権の日本代表DF簑島圭悟(26歳)が加入し、安定感が出た。

 臼井亮人代表は「コンセプトにマッチする選手でなければいけませんが、加入した選手が、かなり機能している」とデュアルキャリアへの理解が前提となる中でも有力選手を獲得できるようになった手応えを示した。外国籍のアレックスはスクールなどクラブの事業を手伝い、大卒新人の杉本は、株式会社ダイドードリンコに就職。鈴木は、公認会計士の資格取得を目指しているという。

二度目の引退をする初代主将の菊池「これなら任せられる」

1年目からチームをけん引した菊池(右)と氏橋は今季で引退 【写真提供:横浜GRITS】

 設立当初は手探りのことが多く、各自が仕事との両立で必死だったが、解消されてきている部分もある。

 1年目に大卒で加入したFW池田涼希(25歳)は、証券会社に勤務しながら8得点17アシストと活躍。「1年目は、こんなの続けられないと思うくらい辛かったけど、3年目で要領も覚えた。今季の開幕戦は、会社の人が応援に来てくれた中で勝てて、みんなが僕に優しくなった」と笑った。

 今季は、チーム内競争も激化。現役に復帰して初代主将としてけん引してきたDF菊池は「すごく印象深いのが、今年、初めてHLアニャン(韓国)と対戦した試合。相手は、韓国代表の五輪選手ばかり。(2-9で)大敗したけど、試合後のロッカールームで若い選手たちの目がキラキラしていて、もっとやらなきゃダメだと若い選手同士で声を掛け合い、悔しがっていた。これなら任せられると思った」と3年をかけてデュアルキャリアチームのベースができ、他チームに負けない、言い訳無用の競技力と姿勢が根付いたことを喜んだ。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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