井口資仁が2023年のパ・リーグを○×予想 ロッテベンチから見た山本・近藤ら侍メンバーの凄さとは?
昨年、ベンチから佐々木朗希の完全試合を見届けた井口氏。完全試合をしながら8回で交代させた次の登板も含めて真相を聞いた 【写真は共同】
オリックス:山本由伸が3年連続で投手4冠を獲得する
井口氏は、相手ベンチから山本由伸のことをどのように見ていたのだろうか? 【写真は共同】
――2年連続で投手4冠を獲得した山本由伸投手に、前人未踏となる3年連続4冠の期待がかかります。
山本投手の力があれば、達成するでしょう。スピード、コントロール、球種の豊富さだけでなく、ケガをしないタフな体、状態が悪くても試合中に修正する能力を兼ね備え、付け入る隙がありません。
――井口さんは、山本投手が中継ぎでデビューした頃から対戦していると思います。ここまで成長する姿は予想していましたか?
それはもう、「すごい投手が出てきたな」という想いはありました。能力は申し分がない。そのうえで探求心が強く、現状に満足することなく、さらに上を目指している。彼が見ている視線は、もっと先にあると思うので、今後どう成長していくか本当に楽しみです。
――攻略側の視点に立ったときには、どんなことを考えていたのでしょうか?
ストライクをどんどん取ってくるので、追い込まれる前に積極的に打っていくしかありません。完投を考えて、球数を減らしたい気持ちがある投手なので、そこを狙っていく。追い込まれたときは、1球でも多く投げさせる。それによって、1イニングでも早く、交代させることを考えていました。
ソフトバンク:近藤健介が移籍初年で首位打者を獲得する
――近藤健介選手がFAでソフトバンクに移籍しました。生涯打率3割7厘の近藤選手ですが、首位打者のタイトルは獲ったことがありません。1年目で獲得となるでしょうか?
近藤選手のバッティングが素晴らしいことは間違いありませんが、難しいのではないでしょうか。ソフトバンクはチームバッティングが徹底されていて、自分が犠牲になってでも、走者を進めることが重視されるからです。それが、選手個々の意識として根付いているのが、ソフトバンクの強さ。日本ハムのときは自由に打てる打席が多かったと思いますが、今まで以上に意味のあるアウトが求められると予想します。
――相手の監督として、近藤選手の優れた点はどこにあると感じていますか?
選球眼ですね。ボール球をほとんど振らず、際どい球はファウルで逃げることができる。さらに、芯で捉えるコンタクト能力が高く、アウトであっても内容のいい打席が多い。相手としては、非常にイヤなバッターでした。あと、新庄剛志監督になってから、外野からのスローイングや、次を狙う走塁の意識が上がりました。打撃以外のところでも、勝利に貢献する機会が増えていくと思います。
西武:源田壮亮がシーズン失策ゼロを達成する
――名手・源田選手が、ショートで失策ゼロを達成できるかどうか。
ゼロはさすがに無理だと思います。たとえば、カットプレーでバックホームしたときに、キャッチャーがショートバウンドの送球を逸らし、後ろの走者が進塁した場合にはショートに失策が付きます。周りの選手が関与するプレーで失策が記録されることもあるので、より難易度が高くなります。
――ショートとして、源田選手の優れた技術はどのあたりにあるのでしょうか?
ボディバランスがいいですね。球際を逆シングルで捕球しても、体勢が崩れることなく、すぐにターンしてストライク送球を放ることができる。100パーセントの全力でプレーしているようには見えず、80パーセントぐらいの力でプレーを完結している。あとは、一歩目の速さです。私の現役時代は、小坂誠選手の速さが際立っていましたが、源田選手もそのレベルにいます。
――井口さんは現役時代、失策数は気にしていましたか?
まったく気にしていませんでした。イレギュラーをエラーにされると、イラッとすることはありましたけど(笑)。最少はたしか、ダイエー移籍1年目にショートからセカンドに移ったときの5個だと思います。5個以下はさすがに無理ですね。