男子バレー世界最高峰の舞台イタリア 石川祐希はホームの大歓声を背に堂々とプレー

田中夕子

チャンスを生かせなかった石川「無理に打ちにいってしまった」

トレンティーノとの対戦はマッチポイントからの悔しい逆転負けとなった 【平野敬久】

 だが、その1本が石川にとってはこの試合で最も悔やまれる1本になった。セッターのサーブから始まるS1ローテ、本来のレフト側ではなくライト側から攻撃を仕掛けるローテーションで、ライトから放った石川のスパイクは、相手ブロックに止められ24対24、リードを失いデュースへともつれ込んだ。21対24から5連続失点を喫し、24対26。勝利をつかんだ状況からの逆転を喫し、第5セットも石川のサーブで崩しながらつなぎのプレーにミスが出てブレイクしきれなかったところから一気に連続失点を喫し8対15。石川の表情に悔しさが浮かぶ。

「トスが高くなかった中、無理に打ちにいってしまいました。そこでもうちょっとうまく処理をしなければいけなかったと思うし、セッター以外のハイセットはリバウンドを取ったり、点数につなげることができていた中で、いいトスじゃない状況、低いトスの時にも無理やり打ちに行ってシャットを食らったり、ミスをするケースが多かった。それが4セット目の最後も出てしまったし、あそこで締めて勝たなければいけない試合だった。無理に打ちに行ってしまったことは、僕個人としての反省点です」

 単に勝てる試合を落としただけでなく、最高の環境で戦えたにも関わらず取り切れなかった。しかも満員のホームゲーム、自身にとっても「これほど人が入ったのは初めて」という環境だったからこそ、余計に悔しさは募る。

「こういう中で勝てば勝つほど、お客さんも入ってくると思うので。勝利することが、必要だったと思います」

カップ戦準決勝で再戦する相手に石川はリベンジを果たせるか

敗戦数日後再び対戦する相手にどんなパフォーマンスを見せるか 【平野敬久】

 だが試合直後であるにも関わらず、述べる敗因は明確で、自身の感情だけに留まらない。「反省」と悔やむ1本もトスの状況やそこに対して自身がどうあるべきだったか、という対処策も含め、自己分析も的確。さらに反省はプレーのみに留まらず、プロ選手として「見せる」ことを意識していて、ただ単に「惜しかった」「勝てなくて悔しい」だけでなく、石川の言葉からは「次は絶対に同じ轍は踏まない」という決意も感じられた。

 そして、まさにリベンジを果たすべき絶好の舞台は、すぐにやってくる。

 2月25日。イタリア国内のカップ戦であるコッパ・イタリアのファイナルラウンドがローマで開催され、昨年末の準々決勝でルーベ・チヴィタノーヴァに勝利したミラノが、昨年に続いて進出を決めた準決勝で対戦するのがトレンティーノだ。

 取り切れなかった1点を、次こそ確実に取り切る。決められなかったフィニッシュを決めるべく、自らのプレーにフォーカスすることはもちろんだが、チームを勝たせるためにどう振る舞うか。この敗戦から間もなく迎える次の戦いへどうつなげていくのか。

 石川が見せるリーダーシップは、日本代表のみに留まらない。世界最高峰の舞台でも健在だ。その強さが、頂点を決めるトーナメント戦でどんな風に発揮されるのか。楽しみは増すばかりだ。

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著者プロフィール

神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。著書に『高校バレーは頭脳が9割』(日本文化出版)。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)、『青春サプリ』(ポプラ社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など女子アスリートの著書や、前橋育英高校硬式野球部の荒井直樹監督が記した『当たり前の積み重ねが本物になる』『凡事徹底 前橋育英高校野球部で教え続けていること』(カンゼン)などで構成を担当

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