12球団の“熱烈”識者が語る!昨シーズンと新シーズン

痛い近藤健介のFA移籍 それでも日本ハム識者はCSからの下剋上に期待!

Timely!編集部

近藤さんが2023シーズンに期待する選手として名前を挙げた4人の選手達 【写真:共同通信社】

 すでに始まっている、新シーズンに向けての戦い。監督の交代、ドラフト会議、トレード、新助っ人獲得、現役ドラフトなどを経て、あなたの応援するチームはどのように変貌するのだろうか? そこで、12球団の"熱烈"な識者の皆さん12人とライター菊地高弘さんに、昨シーズンを振り返りつつ、新シーズンへの期待、展望などを対談形式で存分に語って頂きました。

 第7回目となる今回は北海道日本ハムファイターズ編。ファイターズ戦実況でもおなじみのスポーツアンカー・近藤祐司さんとライター菊地高弘さんの対談をお届けします。

ホームの勝率ほぼ5割、それなりの力はあった

2022シーズン、BIGGBOSSに見出され大ブレイクを果たした松本剛 【写真:共同通信社】

菊地 今回はスポーツアンカーの近藤祐司さんに日本ハムファイターズの2022年、2023年についてお聞きできればと思っております。よろしくお願いいたします。

近藤 よろしくお願いいたします。

菊地 2022年のファイターズをおさらいしますと59勝81敗3分け。首位に16.5ゲーム差をつけられての最下位に終わってしまったシーズンだったんですが、数字だけを見ると寂しい感じですけど、BIGBOSSの影響なのか常に注目を浴びてなんか賑やかなシーズンだったようにも見えました。近藤さんはいかがだったでしょうか?

近藤 シーズンが始まる前から「優勝を目指さない」という大前提がありましたので、伝えている立場からしても、これまでの定石にとらわれないという形でずっと見てきましたし、選手達はキャンプインから間違いなく生き生きしていたんです。それは間違いなかったですね。
「俺にもチャンスがある!」という形でみんながキャンプに臨んでいたので、そこはBIGBOSSになられたその日から雰囲気は変わっていました。そういう意味では、成績はちょっと苦しいものがあったんですけど、しっかり戦えたと思いますし、ホームゲームの成績を見ると実は借金1しかないんですよ。

菊地 そうですね。34勝35敗ですね。

近藤 借金は全てロードなんですよ。だからジキルとハイドじゃないですけど、ホームではどこにでも勝てるくらいの戦いをしてきたと思うんですが、ロードになると2022年は持ちこたえられなかったというか、そういうゲームが多かったですね。

菊地 近藤さんはホームゲームの実況をされることが多いと思いますけど、そういう意味では2022年の日本ハムは勝っているイメージの方が強い感じですか?

近藤 本当そうですよ。これだけ成績が悪いのに、ホームでの勝率5割は、まぐれではできないと思うんですよね。やっぱりそれなりの力はあったと思います。ホームで(ポンセ投手の)ノーヒットノーランもありましたし、接戦も多かったですし、全然ダメだというボロ負けもほとんどなかった気がしますよね、札幌ドームでは。

菊地 そんな2022年の日本ハムファイターズに点数をつけるとしたら、百点満点で何点になりますでしょうか?

近藤 75点かなぁ。意外と高いでしょ?

菊地 そうですねぇ。

近藤 あくまでも優勝を目指さないシーズンでしたから、どういうビルドアップができたかというところに注目していくという意味でもそうでしたけど、やっぱりルーキーが活躍して活気が出ましたね。
 あとは松本(剛)選手の首位打者であったり、BIGBOSSの起用によってそれまで脚光を浴びなかった選手にどんどん光が当たっていったところがあったと思うんですね。だから新しい、そういった使える選手も出てきましたし、先発投手陣もみんなやることはちゃんとある程度やっていたので、75点かなぁ。
 でも勝負所で勝ちきれなかった勝負弱さという部分でまだまだ若さが出た部分もあったと思いますし、(課題は)このあたりですかね。

菊地 ルーキーの話もありましたけど、上川畑(大悟)選手とか北山(亘基)投手とか若い力が出てきましたね。

近藤 ファイターズは最近、即戦力ルーキーにあまり恵まれていなかった部分があったと思うんですけど、そういった中で8位、9位指名の2人が、ほぼ1年間1軍に帯同できたというのが、これは本当に嬉しい大きな誤算だったと思いますね。スカウト冥利に尽きる指名だったと思いますよ。

ブレイクした松本とビルドアップできた清宮、2023年は勝負の年!

新シーズンでの本格ブレイクが期待される清宮幸太郎 【写真:共同通信社】

菊地 2022年に中継を担当される中で、特に印象深かった試合はありますか?

近藤 5月24日の交流戦初戦ですね。この試合は村上(宗隆)選手がサヨナラホームランを打って延長戦の末にヤクルトが勝つんですけど、本当に良い試合だったんです。1点リードの場面でヤクルトの内山(壮真)選手にキャリア初ホームランを打たれて同点になって延長戦に入るんですけど、延長戦で北山投手が被弾するんですよ。
 北山投手からするとルーキーイヤーに初めてサヨナラホームランを打たれる経験をして、もう大ショックだったと思うんですけど、次の試合もまた同じような状況で投入されて、それでまたサヨナラホームランを打たれるという苦しいシーンがあったんです。
 ルーキーですから、普通はやられたら次(の同じような場面では)は代えるというのが基本線だと思うんですけども、それでもBIGGBOSSはまた次も投入したんです。

菊地 はいはい。

近藤 だから、この2試合連続サヨナラ負けした試合というのは、BIGBOSSが若手に試練を与えて成長させようという、2022年の選手起用の根幹が見えた気がした試合でしたよね。
 清宮(幸太郎)選手も、目の前で見た村上選手のサヨナラホームランはもちろんですけど、その後の交流戦での村上選手の活躍を見て目の色が変わった気が僕はしたんです。交流戦での打率が.323で打撃ベスト10に入ってホームランも3本打ってプチブレイクもしましたしね。

菊地 清宮選手もオールスターでMVPを獲ったり、兆しの見えた年だったかなと思いますが、いかがだったですか?

近藤 まさに兆しが見えたと思います。村上のことを「村上、すごいですわ」って素直にリスペクトしている彼の人格も僕は大好きですし、それは清宮選手の魅力だと思います。
 キャンプインしたときとシーズンインするときのバッティングフォームが全く違いましたし、そこからシーズン中も変わっていきました。試行錯誤していって最後8月くらいですかね、ピタッとはまる自分の打撃フォームを見つけたのか、そこから非常に安定しだしたんです。だから2022年は清宮選手もしっかりビルドアップできたのかな。だから2023年は本当に勝負ですよね。

菊地 そういうなかで、2022年の投打のMVPを選んでいただくとすると誰になりますか?

近藤 投手は伊藤大海投手じゃないですか。これだけファイターズが負け越している中でちゃんと二桁勝ちましたしね。本人は負け数が多いということに対して反省の弁も述べていましたし、勝負所でやられたという話はしているんですけど、ちゃんとゲームを作りましたしね。
 打者では間違いなく松本選手ですね。僕もファイターズの実況をして2022年で8年目だったんですけど、松本選手のキャンプでの取り組みもずっと見てきましたし、いよいよ花が咲いたなと思いましたね。
 松本選手にとっては2023年が勝負ですよね。活躍した次の年に活躍ができれば3年、4年と順調にいくんですけど、プロ野球の選手を見ていると、活躍した次の年に苦しむ選手は結構長く苦しむ傾向があると思うので、松本選手が一流の選手になっていくためには、2023年が勝負だと思いますね。

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