ラ・リーガの注目は“メガクラブ”だけにあらず<ラ・リーガ探訪記2023>
全世界へとマーケットシェアを拡大するラ・リーガ
【写真提供:LaLiga】
ラ・リーガの国際化は2014年に始まり、初の海外拠点がUAEと中国に作られた。アメリカ、南アフリカと続き16年時点では7つ増えた。それが、22年時点では日本を含む55拠点にまでに急拡大した。さらに拠点は持たない国を含めると、その国際的な連携は90カ国にも及ぶほどの爆発的な成長をとげた。
全世界のラ・リーガに関する映像視聴体験は15/16と20/21シーズンの比較で30%の増加となっている。ヨーロッパでの増加率は1%(現地観戦があくまで主流)に留まるものの、アメリカで+39%、アジアで+25%、アフリカにいたっては+1169%の成長を見せている。
また、世界各国でラ・リーガ主催で行われるパブリックビューイングやサッカークリニックのような普及活動は、18/19シーズンの591から20/21シーズンは1222にまで増加している。実際に昨年11月に東京で行われたフットサル大会に私自身も参加したことがあるが、こういった活動を地道に展開している。
本ツアーへの参加者がイギリス、イタリア、ノルウェー、エジプト、南アフリカ、アメリカ、ブラジル、コロンビア、メキシコ、インド、中国、日本と様々な大陸・地域から、計13名のメディア関係者が招待されたということを見ても、マーケット拡大への強い意思を感じさせる。
中堅クラブ独自の哲学が生み出す熱気
一つの例を出すと、直近1月9日に行われた、アスレティック・ビルバオとオサスナという、まさに本ツアーの中心となるバスク地方の2クラブ同士での試合のオープンTV視聴数が、スペイン国内で今季最大を記録したことであろう。この数値がクラシコやマドリードダービーといったビッグクラブ同士の試合をも凌ぐということに驚きを隠せない。
レアル・ソシエダやアスレティック・ビルバオ、オサスナ、エイバル、といったバスク地方のクラブは、ラ・リーガやヨーロッパの中では小さい都市に位置し経済的にも強いと言えない中で、地域内で密接に連携し、独自の哲学とシステムを持ちビッグクラブに抗っている。前回のツアーが首都マドリードを中心に行われ、今回はバスク地方で行われている理由がここにある。
次回以降のラ・リーガ探訪記ではそれぞれのクラブが実際にどういった取り組みをしているかについて触れていきたいと思う。
(取材・文:草田吉篤/スポーツナビ)