履正社が突き詰めてきたのは“奪う”サッカー アグレッシブな姿勢を貫いて全国初制覇を目指す

森田将義
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 大本命不在の第101回全国高校サッカー選手権大会で、優勝候補の1つに挙がるのが履正社だ。これまでの最高成績は2013年度、14年度大会のベスト8だが、彼らはそれを上回るだけでなく、本気で日本一を狙っている。平野直樹監督の下で突き詰めてきた“奪う”サッカーで、大阪勢では1973年度の北陽(現・関大北陽)以来となる全国制覇を果たせるか。

2年ぶりに選手権の出場権を勝ち取った履正社。過去最高成績のベスト8を超えて国立の舞台に立ち、そこで勝つのが目標だ 【森田将義】

新チーム発足当初から進めた意識改革

 徳島ヴォルティス入団内定のDF西坂斗和(3年)、川崎フロンターレ入団内定のMF名願斗哉(3年)を擁する今年の履正社だが、前評判は決して高くなかった。7年ぶりのプレミアリーグ昇格を掴み取った昨年のチームから、GK平尾駿輝(現・カターレ富山)ら守備陣のレギュラーがごっそり抜けて、彼らの代わりを務めるのは経験値が低い選手ばかり。Jリーグのアカデミーなど格上と戦うには、不安があった。

 平野直樹監督が採った解決策は前線からのアグレッシブな守備だ。新チームが立ち上がったばかりの頃に、平野監督は狙いについてこう話している。

「ゴール前でしっかり守って勝負しようとするのではなく、何回かやられるかもしれないけど前から行くしかない。ゴール前に持っていかれるシーンを少ない形にしようと考えている」

 高い位置でボールを奪う回数が増えれば、名願らアタッカー陣の持ち味も生きやすい。セレッソ大阪やガンバ大阪の選手ほど上手くなくても、攻撃でも相手より献身的に走って数的優位を作り続ければ差は埋められる。

「日本のサッカーからハードワークという言葉をなくしていかなければいけない。ハードワークするのが当たり前じゃないと世界で戦えない。(ロベルト・)レバンドフスキはあれだけの身長で、前からチェイシングを続けるから一流と呼ばれている」

 指揮官は選手にそうした言葉をかけて、意識改革を進めていった。
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著者プロフィール

1985年、京都府生まれ。路頭に迷っていたころに放送作家事務所の社長に拾われ、10代の頃から在阪テレビ局で構成作家、リサーチとして活動を始める。その後、2年間のサラリーマン生活を経て、2012年から本格的にサッカーライターへと転向。主にジュニアから大学までの育成年代を取材する。『エル・ゴラッソ』『ゲキサカ』『サッカーダイジェスト』『サカイク』『Number』などに寄稿している。

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