【福西崇史のスコア予想】日本vs.クロアチア「打ち合いの予感が漂う一戦のキーマンは“右SB冨安”」

吉田治良

クロアチア戦のスタートは、スペイン戦の3バックから4バックに戻してもいいと言う福西氏だが、冨安の復調もその根拠の1つだ 【Getty Images】

 優勝候補の一角にも推されるスペインを逆転で下し、ベスト16に勝ち上がった日本代表。決勝トーナメント1回戦の相手は、前回大会準優勝のクロアチアだ(日本時間12月5日の深夜0時キックオフ)。はたして日本は、ルカ・モドリッチを擁する難敵に勝てるのか。現役時代、2006年のドイツW杯で実際にクロアチアと対戦した経験のある元日本代表MFの福西崇史氏に、勝敗とスコア予想をお願いした。

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ドイツやスペインと比べたらレベル的には……

──日本のグループリーグ第3戦は、スペインに2-1の勝利。福西さんのスコア予想が見事に的中しましたね。

 良かったです。友人からも「当たってるじゃない!」って連絡をもらいました(笑)。願望も込めての予想でしたが、日本代表が本当によくやってくれましたね。

──強豪スペインから2ゴールを奪っての逆転勝利でした。

 前からの守備が上手くハマった1点目と、攻撃に人数をかけて奪った2点目。理想的というか、後半頭からの勢いがそのままゴールにつながりましたね。

──ドイツ戦と同じく、前半とはガラリと戦い方が変わりました。

 そうですね。割り切れたというか、開き直れたというか、前半の早い時間帯(11分)に失点したことで、後半は思い切って攻めるんだと、リスクを負って出て行けましたね。森保一監督の意図を、選手たちがしっかり汲んで戦えた結果でしょう。

──コスタリカに敗れて、ドイツとスペインの2ヵ国を相手に逆転勝ち。ちょっと信じられないような展開です。

 本当ですね。ほとんどの人がその逆を予想していましたからね(笑)。でも、引き分けでも厳しい状況でスペイン戦に臨むにあたって、やはりドイツ戦の勝利で得た自信というのは相当大きかったと思います。

──次の決勝トーナメント1回戦の相手は、前回大会準優勝のクロアチアです。福西さんの予想を聞かせてください。

 どうでしょう……、2-1か3-2で日本の勝利。結構打ち合いになるんじゃないかと、僕は見ているんですよね。

──ただ、クロアチアはグループリーグの3戦でわずか1失点です。

 確かにそうですが、スペイン戦で見せたような積極的な守備からの攻撃ができれば、僕は十分に崩せると思っています。相手のセンターバックだと、若いヨシュコ・グバルディオル選手はスピードもあって手強そうですが、コンビを組むベテランのデヤン・ロブレン選手には付け入る隙がありそうです。なにより、すでにドイツやスペインと戦っているわけですからね。その2ヵ国と比べたら、ある程度レベル的には落ちるんじゃないかと、あくまでも個人的には考えています。

クロアチアは組織的に頑張れるチーム

クロアチアで警戒すべきは、やはりプレーメイカーのモドリッチだ。ただフィジカルコンディション的には、日本に分がある 【Getty Images】

──クロアチアは、ほぼスタメンを固定してここまで戦ってきました。

 疲労はかなりあるでしょうね。37歳のルカ・モドリッチ選手も、グループリーグ第3戦のベルギー戦では、後半途中から膝に手を付いていましたから。そこは突きどころというか、フィジカルコンディション的には日本の方に分があると思っています。

 その意味でも、コスタリカ戦のターンオーバーが、ここで効いてくるでしょうね。あの5人のスタメン変更は、決してコスタリカを下に見たからではなく、ドイツ戦やスペイン戦とは間違いなく戦い方を変える必要があったからこその、戦略的なターンオーバー。それがここからの戦いで生きてくるはずです。

 ただし、クロアチアは組織的に頑張れるチームでもあります。前回大会も決勝トーナメントは延長戦の連続で、あれだけ疲弊しながらもファイナルまで勝ち上がりましたし、そうした強みは今回のチームも持ち合わせています。だからこその失点1という結果なんでしょうし、そうやって頑張りが利くチームに対しては、日本も我慢強く球際で戦い続けることが大事になってくると思います。

──福西さんは現役時代、2006年のドイツW杯でクロアチアと戦われていますよね(グループリーグ第2戦/0-0)。当時と比べて、クロアチアというチームの印象に変化はありますか。

 大きくは変わっていないですね。1998年フランス大会のチームには、ダボル・シュケルやズボニミール・ボバンといったタレントがいて、個の力が際立っていましたが、ドイツ大会の時にはすでに組織的なチームだなっていう印象がありました。当時からいるモドリッチ選手を筆頭に個々のクオリティは高いとはいえ、いわゆるトップ・オブ・トップ(の選手)は、ドイツやスペインほど多くはありません。

 とはいえ、局面局面で身体を張ってくるとか、カバーを怠らないとか、そういう部分での強さというのは、当時からすごく感じましたね。だから今回の対戦は、「日本の組織対クロアチアの組織」の勝負になるんじゃないかと、僕はそう思っているんです。

──我慢比べのような展開も考えられますか?

 確かに1-0というロースコア決着もあり得ますが、ただ今の日本は勢いがありますからね。スペイン戦の堂安律選手の同点ゴールなんて、気持ちが乗っていないと、GKのウナイ・シモン選手の手を弾くようなあれだけ重い球は行かないですから。

──クロアチア戦で警戒すべきプレー、選手は?

 まずはセットプレー。これは日本の弱い部分でもありますから。あとは、やはりモドリッチ選手でしょうね。彼がボールを持つとチーム全体に動きが出てくるので、そこをどう抑えるか。さらに左サイドのイバン・ペリシッチ選手もドリブルにキレがあるし、自由にプレーさせると厄介でしょうね。

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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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