【福西崇史のスコア予想】日本vs.クロアチア「打ち合いの予感が漂う一戦のキーマンは“右SB冨安”」

吉田治良

ポイントは「前に押し出せるかどうか」

今大会はまだ一度も同じピッチに立っていない久保と堂安。東京五輪でも証明されたようにコンビネーションは良いはずだが 【Getty Images】

──そうした点も踏まえて、日本代表のスタメン、システムはどう予想されますか? 次の試合はCBの板倉滉選手が累積警告で出場停止になりますが。

 僕は4バック(4-2-3-1)に戻した方がいいんじゃないかと思っています。ポイントになるのは「前に押し出せるかどうか」。3-4-3でスタートしたスペイン戦は、前田大然選手が相手のセンターバック(CB)にプレスに行っているのに、2シャドーがそれに連動して前に押し出せず、ボールホルダーにプレッシャーがかからなかった。それで特に前半は、ボランチが対応に迷う場面が多かったんです。もちろん、それができるなら3-4-3でもいいんですが、冨安健洋選手も戻ってきたので、僕は4バックを推奨します。

──吉田麻也選手と冨安選手のCBコンビということですか?

 いえ、CBは吉田選手と谷口彰悟選手で、右サイドバック(SB)に冨安選手ですね。そして左SBが長友佑都選手。

──ダブルボランチは?

 守田英正選手と遠藤航選手。もちろん田中碧選手でもいいんですが、そこは疲労の具合で判断かと。遠藤選手は故障明けですが、スペイン戦の終盤に使ったということは、次は問題なく行けるということでしょうから。

──2列目はどうしますか?

 僕なら右に伊東純也選手、トップ下に久保建英選手、左に堂安選手で行きたいですね。堂安選手は今ノッていますし、久保選手とのコンビネーションを見てみたいという願望もあります。久保選手は体調不良という情報も入ってきましたが、スペイン戦は前半だけで下げられて悔しい想いもあるでしょうから、ここで奮起してくれるんじゃないかと。

──そして1トップが?

 浅野拓磨選手じゃないですか。スペイン戦であれだけのスプリントをした前田選手は、さすがに中3日ではきついと思います。

三笘が見せた「付いて行く守備」

スペイン戦の三笘は攻撃面だけでなく、守備でも大きな貢献を果たした。クロアチア戦でも攻守両面の切り札となるか 【Getty Images】

──では、日本のキープレーヤーを1人だけ挙げるとしたら、誰になりますか?

 冨安選手ですね。彼が対面のペリシッチを抑えられれば、結構クロアチアは攻めあぐむと思いますよ。スペイン戦も途中から出てきて完璧な仕事をしてくれましたから。

──三笘薫選手はどう使いましょう?

 それはもう、切り札ですよ。ここにきて「三笘さん、頼みます」的なボールの預け方ではなく、チームとして積極的に前に行くことでサポートの距離も近くなったし、ある程度相手を崩してからの三笘選手なので、彼もより持ち味を発揮しやすくなっています。

──三笘選手があんなに守備ができると思っていましたか?

 いや、思ってなかったですね(笑)。スピードのある選手って、守備になると軽く抜かれるイメージがあったんですが、「付いていく」という守備を覚えたら、あれでいいんだなって。取りに行かずに、付いて行く。もちろん、そのさじ加減は大切ですが、スペイン戦の三笘選手は上手く相手のアタッカーに付いて行って、突破を狙うフェラン・トーレス選手にも簡単には中に切れ込ませなかった。あの守備は最高でしたね。

──先ほど、スコア予想は2-1か3-2とおっしゃいましたが、どちらにしましょうか。

 2-1にしましょう。より可能性の高い方に、ちょっと置きに行きます(笑)。ただ、延長戦もあり得ますからね。その場合は、最終スコアは3-2になると予想します!

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福西崇史(ふくにし・たかし)

1976年9月1日生まれ、愛媛県出身。新居浜工を卒業後、95年にジュビロ磐田に加入。激しいプレーを身上にボランチの定位置を掴み、チームの黄金時代を支えるとともに、自身も4度(99年、2001年、02年、03年)のJリーグベストイレブンに輝いた。その後、FC東京、東京ヴェルディを経て09年1月に現役を引退。18年には東京都社会人サッカーリーグの南葛SCで現役復帰を果たし、同年11月から約1年間は同クラブの監督を務めた。日本代表としては02年日韓大会と08年ドイツ大会の2度のW杯に出場。通算成績は64試合・7得点。現在は主に解説者として活躍中だ。

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著者プロフィール

1967年、京都府生まれ。法政大学を卒業後、ファッション誌の編集者を経て、『サッカーダイジェスト』編集部へ。その後、94年創刊の『ワールドサッカーダイジェスト』の立ち上げメンバーとなり、2000年から約10年にわたって同誌の編集長を務める。『サッカーダイジェスト』、NBA専門誌『ダンクシュート』の編集長などを歴任し、17年に独立。現在はサッカーを中心にスポーツライター/編集者として活動中だ。

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