工藤公康さん執筆コラムの連載がスタート! ネット裏から見えたプロ野球の世界
工藤氏(左)の目には、今年のプロ野球がどのように映ったのだろうか 【写真は共同】
監督を経験したからこそ「見える」もの
プロ野球の監督を経験したことで工藤氏が見えた世界とは? 【写真は共同】
試合中に起きることは、戦略の一部分に過ぎません。監督は試合前にチームがやろうとする野球や選手の状態など、あらゆる要素を整理します。その上で準備やシミュレーションを繰り返して試合に臨みます。そんな監督の仕事を経験したからこそ、一瞬の勝負や決断までの背景を察することができ、選手の起用法や代打のタイミングなどすべての場面において、それぞれの監督の意図を考えるようになりました。
また「育成と勝利との両立を目指す」という監督の役割についても考えさせられました。勝ちながら選手を育てることはとても難しい。目の前の選手一人ひとりの育成方法を考えながら、1軍で戦っている以上は勝たなければいけません。
選手の性格やチームが置かれている状況、チームの未来を見据えて育てなければいけない選手など、考えることは非常にたくさんあります。
今このタイミングで育てるべきなのか? それとも今は勝つために必要な選手を起用すべきなのか?
若い選手を使い続ける勇気を持ち、育てながら勝つことの難しさを私自身が経験したからこそ、プロ野球の監督の苦悩を理解できるようになったのではないかなと思います。