八村塁のチームメイト2人が躍動して初B1は連勝スタート FE名古屋を支える“ゴンザガ大の文化”
今季からFE名古屋でプレーするゴンザガOBのジョナサン・ウィリアムズ 【©B.LEAGUE】
“スモール”だが万能なビッグマンがそろう
加えて開幕戦は新加入のジョナサン・ウィリアムズがダブルダブル(16得点・10アシスト)の大活躍を見せた。彼はヨーロッパのクラブはもちろん、NBAのキャリアも持つ27歳だ。206センチ・103キロとB1のセンター(5番ポジション)にしては小柄だが、大きなアーチを描く左手のフックショットは脅威。跳躍力を生かしたリバウンド力、相手を選ばない守備力もあわせ持つオールラウンダーだ。
1日のFE名古屋は最大16点のリードを第4クォーターに3点差まで詰められる展開だった。しかし残り3分で突き放して、B1初勝利を挙げた。
川辺HCは追い上げられて突き放す展開について、こう説明していた。
「その時間帯はJ3を少し休ませた時間帯で、こちらもスモールラインアップで挑んでいた。タイムシェアの時間帯でもあったので、必要な時間だった」
“J3”が早速の活躍
川辺HCはウィリアムズのプレーをこう評価する。
「5番5番しないというか、しっかりフルコート走れます。(茨城の大型センター)ジェイコブセン選手との1対1をしっかり守れるフィジカルもあった。フルコートでボールプッシュするアジリティもあって、本当に器用な選手だなと思います。合流してそんな長くないので、小さなミスや『こうしてほしい』という課題はあるけれど、彼も日々成長している選手の1人です。愚直に成長しているのが素晴らしい」
FE名古屋のスタイルとウィリアムズの相性についてはこう述べる。
「僕たちは上のカテゴリーに来ても、ディフェンスのチームです。スイッチしたとしてもガードにつけるところは大きい。ビッグマンでもしっかりボールプッシュをして、しっかり走っていけるところも今日は表現していた。そういった意味で、いい選手が加入してくれたと思います」
1日の初戦は第4クォーターの勝負どころで、ウィリアムズのプレーが効いた。残り2分39秒には208センチのエリック・ジェイコブセンと競ってブロックショットに成功。そして残り2分16秒には自ら切れ込んでレイアップを決める。鋭いフェイクでジェイコブセンを抜き、チェハーレス・タプスコットのファウルも誘う技ありのプレーだった。
ウィリアムズは軽いジョークをまじえて、自らの強みについてこう述べる。
「リバウンドと、ペイントエリアで強くフィニッシュするところです。ただ今は隠していたいので、フックショットくらいにしておきます」
チームの印象と目標についてはこう語っていた。
「コーチ陣はとてもフレンドリーで、チームもコート上でもコート以外でもみんな仲良くする文化がある。試合のたびに少しずつ成長を積み重ねて、良い形でチャンピオンシップに出ることが目標です」
「日々成長」でB1に適応
FE名古屋をB1昇格に導いた川辺泰三HC 【©B.LEAGUE】
「一番の違いはサイズ感です。僕らはいろいろな(B1)チームとプレシーズンにやらせてもらいましたけど、相手は3ポイントのパーセンテージがみんな50%以上なんです。スイッチをしても上から3ポイントを打たれてしまって、そこにどう対応していくかという課題をこの1カ月で感じました」
ビッグマンがスイッチして外からのシュートに対処すれば、一般的に相手の成功率は落ちる。しかしB1は外国籍選手だけでなく日本人も大柄で、なおかつシュートの質の高い選手がいる。FE名古屋はプレシーズンでB1に適応し、外角のオープンショットに対して「競っているつもりで競れていない」悪弊の修正を進めた。茨城の3ポイント成功率は1日が38.9%、2日が20.8%で、FE名古屋はプレシーズンの成果をしっかり出した。
彼らにとって開幕は決してゴールではない。新昇格チームにとってはB1残留ですら容易でなく、長いシーズンで結果をつかむためには連携の深化が不可欠だ。川辺HCは「日々成長」という言葉を繰り返していた。
PGの石川海斗もこう述べる。
「僕らのチームは決して1対1で戦うスタイルではないので、チームでどれだけ戦っていけるかと、遂行力が問われる。オフェンスもディフェンスも『最後の試合まで成長しなければいけない』と思っています」