八村塁のチームメイト2人が躍動して初B1は連勝スタート FE名古屋を支える“ゴンザガ大の文化”

大島和人

ゴンザガOBは振る舞いが「エリート」

ジェレミー・ジョーンズもゴンザガOBで、FE名古屋に加入して2季目 【©B.LEAGUE】

 NCAA(全米大学体育協会)のファン、大学時代の八村塁を追っていたファンならご存じだろうが、ウィリアムズ(J3)と、JJの愛称で親しまれるジョーンズはどちらもゴンザガ大学のOBだ。八村塁はゴンザガ大に2016年に入学して3シーズンプレーした後、ドラフトにアーリーエントリーを表明してワシントン・ウィザーズに指名された。ウィリアムズとジョーンズは年上ながら、同じ2016年に転校して3年間在学していた(※1年目は規則で登録できず)

 つまりウィリアムズにとってジョーンズと八村は大学のチームメイト。さらにウィリアムズと八村は2019-20シーズンのウィザーズでも、短期間ながらともにプレーしている。

 川辺HCにゴンザガ勢の印象を尋ねると、このような答えが返ってきた。

「通訳やNCAAに行っていた選手に聞いたら、ゴンザガと言ったらむちゃくちゃエリートだと言います。彼らもそれは自覚していてオンコート、オフコートに振る舞いからエリートな感じがします。JJはホームでもアウェイでも朝5時に散歩しています。食事もすごく気にしているから自分で料理をして、アウェイまで持ってきたりしています。シーズン中は基本みんな痩せていくんですけれど、彼は体脂肪が増えずにしっかり筋肉量が増えていく。『プロのアスリートとして日々努力している』のがゴンザガのイメージですね。(喜怒哀楽を)あまり表情も出さないところは、スポーツマンシップを考えていると思います。良くても悪くてもクールにやってくれて、本当に頼もしい」

「みんな人間性がすごくいい」

石川海斗はゴンザガOBとの関わりが多い 【©B.LEAGUE】

 31歳の石川は、同校のOBと縁のある選手だ。明成(現仙台大学附属明成)高の後輩・八村塁もゴンザガ大に進学している。

「塁は後輩でもありますし、例えば僕も明成に行ったりしてたまに会うこともありますけど、あれだけエリートの子が、そういうときにちゃんとあいさつしてくれる。それは明成だけでなく、ゴンザガのしっかりした指導があると思っています。僕はアイラ(ブラウン)、クウソーとゴンザガの選手と一緒になることが多いなと感じますけど(笑)。誰がとかでなく、みんな人間性がすごくいいし、コミュニケーションの取り方もうまい。他の大学がどうかは分からないですけど、塁が行ったときも『学校がしっかりしている』『きっちり勉強もしなければいけない』と聞きました」

 石川は日立サンロッカーズ東京(現サンロッカーズ渋谷)でアイラ・ブラウン、岩手ビッグブルズでアブドゥーラ・クウソーとゴンザガOBのチームメイトだった。そしてFE名古屋でもジョーンズ、ウィリアムズとプレーをしている。

「J3(ウィリアムズ)もJJ(ジョーンズ)も人一倍練習して、現状に満足してない姿勢があります。特にJJは朝7時半とか、チーム練習が始まる前からシューティングをして、練習をしてまたシューティング、(個人の)トレーニング……というイメージです」

 Bリーグを取材しているとアメリカの大学で教育を受けた選手の謙虚さ、ハードワークを尊ぶ姿勢は強く感じる。 “エリート”ほど「実るほど頭を垂れる稲穂かな」を地で行くところがある。そしてそういう姿勢はバックグラウンドの違うチームメイトにもいい影響を与える。来日2季目のジョーンズ、新加入のウィリアムズはコート上のプレーを見れば良さがすぐ分かる選手だが、指導者やチームメイトの話を聞くことでその価値がより強く伝わってきた。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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