ドラフトで指名され、NPBで活躍する独立リーグ出身選手の特徴とは?

データスタジアム金沢慧

9/30から「独立リーググランドチャンピオンシップ2022」が開催

ソフトバンク・又吉らがかつて在籍した独立リーグ。どのような選手がNPBでも結果を残すことができるのか? 【写真は共同】

 3年ぶりに独立リーグの日本一を決める戦いが戻ってきた。

 9/30(金)と10/1(土)に熊本・藤崎台野球場で「日本独立リーググランドチャンピオンシップ2022」が行われる。日本独立リーグ野球機構(IPBL)に所属する各リーグを制した4チームが熊本に集い、2日間のトーナメント方式で日本一を争う。

 各リーグの代表は「四国アイランドリーグplus」から高知ファイティングドッグス、「ルートインBCリーグ」から信濃グランセローズ、「ヤマエ久野 九州アジアリーグ」から火の国サラマンダーズ、「北海道フロンティアリーグ」から士別サムライブレイズとなった。

 以前は2チームによる頂上決戦のみだったが、IPBLへの加盟リーグが増えたことで今年は準決勝2試合、3位決定戦、決勝の4試合が行われる予定となっている。試合の様子はスポーツナビでもリアルタイムで配信する。

 独立リーグには将来NPBでの活躍を目指す選手が多い。日本一を決めるこの大会はスカウトへの重要なアピールの場となり、試合の結果だけでなくドラフト候補選手の「ショーケース」としても注目される。

 どのような選手が独立リーグからNPBの舞台に活躍の場を移すのか。そして、グランドチャンピオンシップではどの選手をチェックできるのか。独立リーグ出身選手のレビューと、IPBL4リーグ所属選手のドラフト候補を紹介する。

NPBでの実績は角中勝也と又吉克樹が抜けている

【データスタジアム】

 2005年に四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグplus)が誕生した後、2021年までに行われたドラフト会議は17回。独立リーグのチームからドラフトを経てNPBのチームに入団した選手は126名おり、1年で平均7.4人がNPBへ巣立っている。2005年以降でみるとドラフト経由で入団した選手のうち7%が独立リーグ所属選手だ。支配下登録での入団が35人、育成選手が91人で、育成選手として指名され入団する割合が高い。

【データスタジアム】

 独立リーグ所属時にドラフト指名された選手の活躍度を「選手が控えレベルと比べてどの程度の勝利数に貢献したのか?」を示す総合評価指標のWARでみてみたい。

 通算のWARを算出すると、まず野手では、首位打者、最多安打、ベストナインを獲得した角中勝也(高知→ロッテ)がダントツだ。2位は内村賢介(石川→楽天→DeNA)、3位は亀澤恭平(香川→中日)と、小柄ながら足を生かしたプレースタイルを武器に、レギュラー格として活躍した内野手が続いている。

 ただし、シーズンを通して目立った活躍を見せたのはせいぜい6位の岸潤一郎(徳島→西武)までで、リーグを代表する打撃力をみせたのは角中ひとり。「俊足が売り、もしくは複数ポジションを守れる選手」という需要には一定程度応えているものの、常にレギュラーで出続けられるような野手はまだ少ない。

【データスタジアム】

 投手は昨オフにFA宣言をしてソフトバンクに移籍した又吉克樹(香川→中日→ソフトバンク)の実績が抜けている。又吉の通算198HPはNPB歴代でも6番目に多い数字で、野手の角中とともに独立リーグ出身選手の象徴的な存在となっている。

 2位以降はまだ又吉との実績差が大きいが、2022年にはオールスターにも選ばれた湯浅京己(富山→阪神)、プロ初登板からの無失点記録が話題となった宮森智志(高知→楽天)、さらには2年目の石井大智(高知→阪神)も昨年に比べて成績を上げており、独立リーグ出身投手の活躍が目立ってきた。

 この表の対象ではないが、2020年に広島を戦力外となった後、2021年に高知ファイティングドッグスでプレーしていた藤井皓哉もソフトバンクのセットアッパーとして欠かせない存在となっており、独立リーグ出身者の存在感を高めている。

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著者プロフィール

データスタジアム株式会社 フェロー 主にプロ野球各球団でのデータ活用のサポートやメディア出演多数。 NHK「ワールドスポーツMLB」、「球辞苑」やAbemaTVのプロ野球中継でデータ解説役として出演。

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