川崎宗則書籍 「あきらめる」から前に進める。

川崎宗則、イチローに会ってよみがえった野球への思い 理想をあきらめたから前を向けた

川崎宗則
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川崎はMLBに渡る前のソフトバンク時代からオフは神戸でイチローと自主トレをしていた 【写真は共同】

イチローさんに会いに神戸へ

 また本格的に野球をやってみようと思わせてくれたのは、やっぱりイチローさんでした。イチローさんはオフになると、ほっともっとフィールド神戸で自主トレをしていたんですが、マネージャーさんが「来てみる?」と声をかけてくれたんです。その頃はまだ電車にも乗れない状態だったので悩みましたが、とにかくイチローさんに会いたいという気持ちが強くて、思い切って新幹線に飛び乗りました。無事に神戸に到着でき、「あっ、行けたわ!」って感じでした。

 自主トレに参加させてもらう前から、ちょっとずつはトレーニングみたいなことができるようにはなっていたけど、まだ本格的なトレーニングをするのはちょっとキツい感じでした。まだ体は痩せていたし、自主トレに参加するというより、イチローさんに会いに行ったというのが正直なところです。

 球場に行ってイチローさんの姿を見つけ、すぐさま挨拶に行ったんですけど、「よく来てくれたな。ありがとう!」的な言葉をかけてくれたように記憶しています。ただそれ以上に、彼の表情を見ただけでホッとして、僕はワンワン泣いていました。イチローさんは厳しい表情をする時もあるんですが、その時の笑顔は本当に優しくて、僕を包み込んでくれているように感じられたし、すごく気持ち良かったのを覚えています。とにかくイチローさんの笑顔が仏様のように見えましたね。感情が一気に込み上げてしまいました。
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著者プロフィール

1981年生まれ。鹿児島県出身。鹿児島県立鹿児島工業高校卒業。1999年のNPBドラフト会議で福岡ダイエーホークスから4位指名で入団。2012年にシアトル・マリナーズへ移籍。13年にトロント・ブルージェイズ、16年にシカゴ・カブスを経て17年に福岡ソフトバンクホークスに復帰。18年に退団。一度野球選手としてのプレーを休み、育成年代への指導を中心に活動していたが、19年7月に味全ドラゴンズと選手兼コーチ契約をし、現役復帰。20年にルートインBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスと契約。身長180センチ、体重80キロ、右投げ左打ち。

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