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川崎宗則「ただ生きることだけを考えた」 心療内科での入院生活

川崎宗則
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生きることだけを考えた選択

2017年にホークスに復帰を果たしたが、プレーできる状態ではなかった 【写真は共同】

 もう時差ぼけが原因でないことはわかっていましたし、ただアキレス腱を治療するだけでは解決できないものだとも感じていました。これまでの僕の野球選手としての経験ではまったく対処できませんでしたし、本当にどうしようもありませんでした。アキレス腱の痛みが再発した時点で、僕の中で何かが崩れていった感覚がありました。このままじゃ元に戻ることはないだろう、もうこれ以上プレーできないって……。
 すでに自分の中では、死の恐怖さえ感じるようにもなっていました。とにかく生きたかった。そんな必死な思いだったから、とにかく野球から一旦離れよう、体を動かすこともやめようと決断することができました。妻も、僕がちょっと普通の状態ではないことを感じていたと思います。病院に行って診てもらおうと考えていることを打ち明けたところ、「すぐに診てもらった方がいいよ」と背中を押してくれました。それまで僕の中ではまったく無縁の存在だった心療内科の先生を訪ね、眠れないことを正直に伝えたところ、すぐさま入院を勧められました。
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著者プロフィール

1981年生まれ。鹿児島県出身。鹿児島県立鹿児島工業高校卒業。1999年のNPBドラフト会議で福岡ダイエーホークスから4位指名で入団。2012年にシアトル・マリナーズへ移籍。13年にトロント・ブルージェイズ、16年にシカゴ・カブスを経て17年に福岡ソフトバンクホークスに復帰。18年に退団。一度野球選手としてのプレーを休み、育成年代への指導を中心に活動していたが、19年7月に味全ドラゴンズと選手兼コーチ契約をし、現役復帰。20年にルートインBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスと契約。身長180センチ、体重80キロ、右投げ左打ち。

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