川崎宗則書籍 「あきらめる」から前に進める。

川崎宗則、“理想”を捨てたプロ1年目 「あきらめた」から今がある

川崎宗則
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「あきらめる」ことはポジティブなこと

理想を捨てたからこそ、プロとして長く活躍することが出来た 【写真は共同】

「あきらめる」という言い方はみんなが嫌がるだろうし、ネガティブに聞こえるかもしれないけど、実はすごく良いことなんです。確かに「自分はああなりたい」とか「自分はこうしたい」と理想を抱くことも大切なことです。でも理想というのは頭の中で考えるものであり、身に見えないものなんですよね。それを追い求めてしまうと体が固まってしまうので、むしろ理想をあきらめてしまった方がより自由に体が動くようになるんです。

 体が動くようになれば心も動くようになり、考え方にも広がりが出てくる。そうしたら自分の実情が見えるようになるし、やりたいことも明確になるかなと。要は理想をあきらめるというのは、ネガティブなことじゃなくてむしろポジティブなことなんです。

 実はこういう考え方になれたのは、高校を出てプロ野球に入ったばかりの頃なんです。プロ1年目は練習ですら先輩たちにまったくついていけなかったから、こりゃもうダメだなと・・・。もともと「プロ野球選手はこういうものだ」みたいな理想を持っていたんですが、周りがすごい選手ばかりで、「理想」が完全に崩壊してしまった。そこからですよね、理想をあきらめたのは。このままプロ1年目でクビになる可能性があるんだったら、とりあえず今置かれた状況や環境を楽しもう、夜はご飯を楽しもう。トレーニング場を使い切ってやろうという感じです。とにかく楽しむことを優先に考えるようになりました。
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著者プロフィール

1981年生まれ。鹿児島県出身。鹿児島県立鹿児島工業高校卒業。1999年のNPBドラフト会議で福岡ダイエーホークスから4位指名で入団。2012年にシアトル・マリナーズへ移籍。13年にトロント・ブルージェイズ、16年にシカゴ・カブスを経て17年に福岡ソフトバンクホークスに復帰。18年に退団。一度野球選手としてのプレーを休み、育成年代への指導を中心に活動していたが、19年7月に味全ドラゴンズと選手兼コーチ契約をし、現役復帰。20年にルートインBCリーグ・栃木ゴールデンブレーブスと契約。身長180センチ、体重80キロ、右投げ左打ち。

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