横浜FMの闘将・喜田拓也の決意表明 ACL初制覇で「クラブの歴史を変える」
このチームはいつも目線がそろっている
全員が自然と同じ方向を向き、誰がピッチに立っても質の高いパフォーマンスを披露できるのが横浜FMの強み。最高の一体感でアジアの頂を目指す 【Photo by Hiroki Watanabe/Getty Images】
今年はいろいろな方から、「F・マリノスは誰が出ても遜色のない力強さを発揮する」と言っていただけます。ただ、特別に何かをやっているわけではなく、日々の練習からお互いを尊重し、高め合い続けることを愚直に積み上げてきただけなんです。自分たちのやってきたことに誇りを持ち、そのクオリティも上げてこられたのは、みんなの姿勢が素晴らしかったからに尽きると思います。
今大会のグループステージでも、全員の力で他のチームと差をつけられたからこそタフな日程を勝ち上がり、ノックアウトステージの舞台に立てる機会をつかめた。そこに自信を持って臨みたいし、絶対に後悔なく戦い抜きたいと思っています。
――今年の横浜FMは2試合連続で同じ11人が先発したことがありません。そうした事実からだけでなく、さまざまな側面からチーム全員で助け合って前に進んでいく雰囲気ができていると感じます。まさに強いチームの典型だなと。
やはり選手はみんなピッチに立ちたいですし、試合に出たい、結果を残したいという気持ちがある。よく「チームは生き物」と言いますけど、本当にちょっとしたことで良くも悪くも変わります。
ただ、このチームに関しては、人間性も非常に優れた選手が本当に多いので、余計な心配はいりません。そういう選手たちと一緒にやれることには感謝しかないです。僕はキャプテンをやらせてもらっていますけど、みんなが協力してくれるので、そこまでやることも多くないんですよ。全員が同じ方向を向くのは本来難しいことなんですが、このチームはいつも目線がそろっているなと思いますね。
――最高の一体感を醸成できているからこそ、これまで通り、目の前の試合を全力で戦い抜いて、終わってみたら……という状況にしたいですね。
そうですね。まだまだこれから。まだ何もつかんでいないですし、何も終わっていませんから。みんなの表情や雰囲気を見ていても、浮ついている感じはありませんし、まったく心配はないです。「とにかく目の前の試合を」というのはチーム全員が分かっていて、そこもしっかりと意思統一ができています。
「F・マリノスって素晴らしい」と感じてほしい
ラウンド16の対戦相手は、互いに手の内を知る神戸。歴史を変える戦いの第一関門となるが、「どこが相手でも自分たちの姿勢は変わらない」 【Photo by Masashi Hara/Getty Images】
僕たちは攻守ともに非常にアグレッシブに戦いますし、それがどんな舞台であっても変わらないのは、強みであり魅力でもあると思います。相手に挑んでいく姿を見てほしいですね。あとは、やはり勝つこと。一発勝負ですし、アジアの舞台での忘れられない経験、悔しい思いを晴らしにいきたい気持ちがある。
そこに懸ける思いをマリノスファミリーのみんなで共有しながら進んでいきたいですし、そこから発せられる熱やパワーは必ず周りに伝わるはずです。試合が終わって「F・マリノスって素晴らしいな」と感じてもらえれば、非常にうれしいです。
――あらためて、ACLに懸ける喜田選手の熱い思いを聞かせてください。
ACLはアジアの優れたチームが集まってしのぎを削る大会なので、日本の代表として出るチームは誇りを持って、Jリーグや日本サッカーの価値を必ず高めるという強い気持ちを持って臨むべきだと思います。
僕たちF・マリノスとしては、頂点を獲るために戦いにいくので、まずは目の前のラウンド16に普段通り、すべてを懸けて臨みたいです。見てくれる方たちに対しては、「応援したい」と思ってもらうための取り組みをするだけでなく、やはりピッチで自分たちの力を証明し、「F・マリノスを後押ししたい」という気持ちに自然となってもらえるような試合がしたいですね。
マリノスファミリーのみなさんには、普段から文句の付けようのないサポートをしてもらっていますが、より一層のサポートをお願いしたいです。それが相手をのみ込むための大きなパワーになるので、一緒に戦ってください。
――横浜FMの歴史を変えるための戦いの中で、"闘将・喜田拓也"はどんなものを見せてくれますか?
僕はチームが勝つために、やれることはすべてやるつもりでいます。プレーはもちろん、プレー以外のところでもすべてを懸けてチームを勝たせる。いつもと変わらないですけど、積み上げてきたものの力を、プレーや結果によって、みんなで証明していきたいと思っています。
(企画・編集/YOJI-GEN)
1994年8月23日生まれ。神奈川県出身。小学校時代から横浜F・マリノスの下部組織に所属し、小6の2006年には全日本少年サッカー大会で全国制覇も経験した。13年にトップチーム昇格。J3に参戦するU-22選抜に選手登録され、14年3月9日のFC琉球戦でJリーグデビューを飾った。15年シーズンから横浜FMで主力に定着。キャプテン就任1年目の19年にJ1リーグ優勝に尽力し、自身も初のJリーグベストイレブンに選出された。11年のU-17W杯ではボランチとして4試合に出場。チームのベスト8進出に貢献した。