激戦の和歌山大会 センバツ出場を逃した智弁和歌山が頂点を狙う

センバツLIVE!

絶対王者の実力を思い知らされた春

 近年の和歌山高校野球を牽引してきた市立和歌山と智弁和歌山。注目の2校は春の悔しさを晴らすべくこの夏に挑む。(編集部注:市立和歌山は準々決勝で敗退)

 春のセンバツでベスト8に進出した市立和歌山は、最速149キロのエース米田天翼投手(3年)が2試合連続完投勝利でチームを牽引した。「強打の相手にも自分の持ち味を出せば通用する」と手応えを感じたが、今でも忘れられない1球があった。

 準々決勝で当時公式戦負けなしの絶対王者・大阪桐蔭との試合、6回代打の工藤翔斗選手(3年)にホームランを打たれた1球だ。「代打で出てきた選手がホームランを打てる大阪桐蔭の強さを感じた1球」と、力の差を痛感した。

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最後の夏へ成長を追い求めた3カ月

春から市内のジムでパーソナルトレーニングに励む米田投手 【センバツLIVE!】

 春の悔しさから、投手としてレベルアップするために取り組んだのがパーソナルトレーニング。国内有数の特殊な器具を使って投球動作に必要な動きを学ぶことで、体の連動性が高まりパフォーマンスアップに繋がると言う。

 さらに、春から投球フォームを改造し、グローブをはめた左手を高くあげて身体を傾け、ボールを上から叩きつけるフォームに変更。上から叩きつけることで、縦回転の効いたストレートになり威力が増した。フォーム改造による変化はそれだけではなく、変化球も縦回転のスピンの効いたボールになり以前よりも空振りを奪えるようになった。

 春より着実にレベルアップした米田投手が挑む高校最後の夏。「甲子園での借りは甲子園でしか返せない」と春の雪辱を誓う夏が始まる。

センバツ出場を逃した昨年夏の覇者

秋は油断や隙があったと悔しさを滲ませる渡部海選手 【センバツLIVE!】

 昨年夏に21年ぶりの甲子園優勝を果たした智弁和歌山。しかし、新チーム初の公式戦となった秋季大会準決勝でまさかの敗退。センバツ出場の切符を逃した。春のセンバツをテレビで観戦していたという選手たちは、「和歌山から2校も選ばれているのに、そこに自分達がいないことが悔しい」「自分たちは何をしているんだろう、自分の不甲斐なさを感じる」とセンバツに出場できていない悔しさを感じた。

 秋の敗戦から、昨年のチームと比べて個々の力が劣ると感じた選手達は個々のレベルアップに取り組む自主練習の時間を増やした。昨年から正捕手として出場し、夏の甲子園で打率4割を記録した主砲の渡部海選手は、打球の飛距離アップを求めて週3回のウエイトトレーニングを自分に課した。筋力アップにより、春から17本のホームランを量産した。

 レベルアップしたのは攻撃陣だけではなく、エースナンバー1を背負う塩路柊季投手も自主練習に励んでいた。同学年の武元一輝投手との2枚看板として注目されているが、ドラフトの目玉として注目度が高い武元投手に「負けたくない」とライバル心を燃やす。練習後、誰もいなくなったグラウンドに残り、プロ野球の世界でキャッチャーとして活躍した中谷仁監督からマンツーマンで指導を受ける。

秋から取り組んできた成果が現れた春

センバツ王者大阪桐蔭に勝利して近畿大会優勝 【センバツLIVE!】

 秋の敗戦から個々のレベルアップに取り組んできた智弁和歌山。その成果が試される場面が訪れる。春の近畿大会決勝戦、相手は春のセンバツ王者大阪桐蔭。「大阪桐蔭はここまで公式戦29連勝、それを止める機会がきた」と岡西佑弥主将が意気込んで臨んだ。

 試合は初回に先頭打者ホームランが飛び出すなど智弁和歌山が一気に3得点をあげ、その後は4投手の継投で逃げ切り、絶対王者相手に勝ち切ってみせた。夏連覇に挑む最後の夏、「自分たちは春出られていないので、夏はチャレンジャーの気持ちで戦う」と渡部海選手は意気込む。甲子園を目指す熱い想いがぶつかる和歌山大会、頂点を掴むのは一体どの高校だろうか。

(企画構成:センバツLIVE)
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