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『グラゼニ』森高夕次先生が語るスワローズ愛 神宮球場での生観戦はこうして楽しんでます!

佐藤峻一

森高先生こだわりの神宮観戦スタイル。ビールに合うおつまみはこれだ!

神宮球場での観戦の魅力を語る森高先生。特に試合前のフリーバッティング練習はプロ野球のレベルの高さを実感できる最高の時間だと満面の笑顔で話す 【安井麻実】

――森高先生こだわりの神宮球場での観戦の仕方はどのようなものでしょうか?

 入場してすぐ6番入口近くの水明亭のうどんかそば、もしくは欅のカレーを買って、それを持ってスタンドに上がり、食べながら練習を見ます。水明亭、一昨年閉店しちゃいましたよね? 寂しいなぁ。

 開場時間ちょうどに行くのは難しいですが、できるだけ早く行き、ビジターチームの打撃練習を見るのが大好きです。とても魅力的なプロ野球の練習の中でもフリーバッティングは最高に面白いんです。天才打者のフリーバッティングの打球って、ポンと上がると落ちてこないんですよ。「どこまで落ちてこないのか、こんなに伸びるのか」と見ているとスタンドに入るんです。「これがプロの打球、天才の打球か」という、試合中では分からないような光景が見られるんですよ。こういう天才を見ると、結果はすぐには残せなくても、有無を言わさず使わざるを得ない世界があるんだな、と実感しますね。

 また、天才でなくてもプロで生きていけるタイプの選手もいます。バッティングピッチャーもすごいボールを投げているので、なかなか打球が前に飛ばない若手選手がいたりするのも面白いですね。

 私も片田舎で中学校から高校まで野球をしていたので、硬球を飛ばすのがどれだけ難しいか想像できるのですが、そうやって打球の軌道を見るのも好きですね。神宮球場での観戦ではホームチームのスワローズの打撃練習が見られないのですが(苦笑)。

 フリーバッティング以外にも、ブルペンでの投球練習など、本当にあらゆるところを見ています。例えば、バッティングピッチャーは○○さん、△△さんがグラウンドスタッフ、××さんがマネージャーをされているなど、引退されて頑張っている元選手の姿を見るのも好きです。

 練習を見るときはたまに角度を変えたりしてみて、先発投手がクラブハウスから来るとブルペン近くに移動して投球練習を見てから、2階席に移動します。車で行くことも多いのですが、そうでないときにはお酒を基本、ビール1杯だけ飲みます。そして売り子さんが下げているチーかまをいただきます。これはもはや「儀式」ですね(笑)。

 その後は試合に集中します。とにかく静かに試合を見る。ラジオを聴きながら見ることもあります。人と見に行くことも多いし、家族と一緒に行くこともありますが、一番素晴らしい見方は1人で行って黙って見る(笑)。私はプレーを見たい派です。

 じっくり球場全体を見ながら、試合前も試合中もどの選手がいつ入って来るのかなって注目しています。だから、主力選手の入りの時間はチェックしているわけです。「〇〇選手は何時ぐらいに入って来る」「先発投手は5時半くらいに来る」「野村克也監督は試合が始まる直前に入って来る」、といった感じです。例えば当時抑えのエースだった高津臣吾投手(現・監督)は7時~7時半くらいに来るんです。それで、「試合開始から7時半までの1時間強、あの間って何をしてるんですか?」って、いつのときだったか、確か高津投手ご本人に聞いたんです。そうしたら、「それまでクラブハウスでテレビ見てるんですよ」って。やっぱそうなのかぁって(笑)。

 あ、最後まで観戦して、帰り際混むのが嫌なんです。だから申し訳ないんだけど9回が始まるときに帰らせてもらう(笑)。だから高津投手が来て練習しているのは散々見ているんだけど、最後に抑える瞬間は実はあまり見たことがない(笑)。もちろんケースバイケースで、「これはちょっと最後までいないと駄目だ!」っていうときは、さすがに見てしまいますけどね。

後編に続く

(企画・構成:株式会社Sports SNACKS)
森高夕次(もりたか・ゆうじ)
1963年生まれ、長野県出身。漫画原作者としてのペンネーム「森高夕次」は、梶原一騎の別名「高森朝雄」に倣ったもの。漫画家としてはコージィ城倉(こーじぃ・じょうくら)として活動している。中学・高校では野球部に所属し、高校卒業後はデザイン系専門学校に進み、グラフィックデザイナーとして活動。その後、漫画原作者・漫画家に転身し、『総理を殺せ』『おさなづま』『ショー☆バン』 等、野球に限らずさまざまな題材の原作を手がけてきた。『グラゼニ』(漫画:足立金太郎)では第37回(2013年度)講談社漫画賞を受賞。現在「モーニング」誌上では『グラゼニ ~大リーグ編~』『昭和のグラゼニ』と2本の原作を手がけている。

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