井上尚弥、さらなる高みへ ドラマ・イン・サイタマ2編

対戦経験者が語る「井上vsドネア展望」と「感動の村田vsゴロフキン」 柴田明雄×田口良一対談

船橋真二郎
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2013年8月25日、プロデビュー戦の村田諒太と対戦した柴田明雄さん(右)と、同日に井上尚弥と対戦した田口良一さん(左)が当時の試合や現在の思いを語ってくれた 【写真:船橋真二郎】

 今から9年近く前、2013年8月25日から始まったひとつの時代が今年、クライマックスを迎えていると言えるのかもしれない。この日、前年のロンドン五輪でミドル級金メダルの快挙を成し遂げた27歳の村田諒太(現・帝拳/当時・三迫)がプロデビュー、“怪物”と称された20歳の井上尚弥(大橋)がプロ4戦目にして日本ライトフライ級王者となり、それぞれ大きな一歩を踏み出した。

 2度のWBA世界ミドル級王者になった村田は、この4月9日、“日本ボクシング史上最大級の一戦”に臨み、世界的ビッグネームの元世界3団体統一ミドル級王者で、IBF世界ミドル級王者のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)に9回TKO負けも、その冠に相応しい激闘を繰り広げ、試合前から試合後に至るまで大きな反響を呼んだ。

 そして、来たる6月7日、世界3階級を制したWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者の井上は「ドラマ・イン・サイタマ2」と銘打たれたビッグマッチを迎える。元世界5階級王者で、WBC世界バンタム級王者のノニト・ドネア(フィリピン)との2年7ヵ月ぶりの再戦には、日本ボクシング史上初となる世界3団体同時制覇も懸かる。
「あれから9年になるんですか――」

 感慨深げに口をそろえたのは、柴田明雄さんと田口良一さん。あの夏、同じ日、別々の試合会場で、金メダリストと怪物に果敢に“挑んだ”2人である。同じワタナベジムの先輩、後輩であり、担当も同じ石原雄太トレーナー(現・角海老宝石ジム)ということでも当時、話題になった。

 ミドル級超の73.0キロ契約6回戦で、東洋太平洋ミドル級王者として村田のデビュー戦の相手を務めた柴田さんは、東京・有明コロシアムで2回TKO負け。日本ライトフライ級王者として日本同級1位の井上の挑戦を受けた田口さんは、神奈川・スカイアリーナ座間で10回判定負けと結果は残せなかったものの、「やってよかった」と、これもまた口をそろえる。

 奮起した柴田さんは、その後、日本ミドル級王座も奪取、スーパーウェルター級と合わせて2階級で2冠王者となるなど、国内重量級に確かな足跡を残した。井上相手に奮闘し、評価を上げた田口さんは翌年、WBA世界ライトフライ級王者となり、7度の防衛に成功、IBF王座も統一することになる。

 現役引退から数年。2人に当時の思い出、村田×ゴロフキン戦について、井上×ドネア2の展望など、柴田さんが2017年9月から千葉・新松戸で主宰する「ボクシング&フィットネスジムSOETE(ソエテ)」で語ってもらった。《取材:5月18日》

村田への久々のLINE、感極まったゴロフキン戦

2013年8月25日に柴田明雄さん(右)が臨んだ村田諒太(左)のプロデビュー戦 【写真:アフロスポーツ】

――4月の村田選手とゴロフキン選手の試合ですが、特に柴田さんは特別な思いがあったのではないでしょうか。

柴田 もう、あのゴロフキン選手と村田くんがやるんだと思ったら、僕も感極まっちゃって。いてもたってもいられず、ものすごく久しぶりに村田くんにLINEさせてもらいました。

田口 あ、村田さんとLINEしてるんですか?
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著者プロフィール

船橋真二郎

1973年生まれ。東京都出身。『ボクシング・マガジン』(ベースボールマガジン社)、『ボクシング・ビート』(フィットネススポーツ)に執筆。『ゴング格闘技』(イースト・プレス)でコラム連載。文藝春秋Number第13回スポーツノンフィクション新人賞最終候補(2005年)。東日本ボクシング協会が選出する月間賞の選考委員も務める。

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