連載:プロ野球・スポーツナビ週間MVP

プロ野球・スポーツナビ週間MVP 主な指標となるWPAとは?

 週間MVPランキングは、「WPA(Win Probability Added)」という指標を基に算出している。ここでは、WPAとは何を表す指標なのか、どのような計算で求めているのかを、簡潔に説明したい。

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WPAとは何か

 Win Probability Addedは、直訳すれば「加算された勝利確率」となる。その名が示す通り、「その選手がどれだけチームの勝利確率を増減させたか」を表す指標だ。

 ここでいう勝利確率は、試合の状況を「点差」「イニング」「アウトカウント」「塁状況」の4要素で分類し、そのシチュエーションからチームが勝利する確率を、過去の試合データから算出したものだ。例えば、「1点リード」「6回裏」「2アウト」「二三塁」では、勝利確率は76.8%と見込まれる。ここで2点タイムリーを打てば、「3点リード」「6回裏」「2アウト」「一塁」で勝利確率は92.3%となり、逆に凡退すれば、「1点リード」「7回表」「0アウト」「走者なし」で勝利確率は71.9%となる。

【データおよび画像提供:データスタジアム】

 こうしたシチュエーションごとの勝利確率を、実際の試合に当てはめてみよう。上図は、2021年9月30日のロッテ戦における、オリックスの勝利確率の変動をグラフにしたものだ。この試合のオリックスは、3回裏に先制を許し、8回表に同点に追いつくも、その裏に2点を勝ち越され、敗色濃厚だった。しかし、9回表にT-岡田が起死回生の逆転3ランを放ち、4-3で勝利を収めている。

 グラフの線が赤くなっている部分が、T-岡田の逆転3ランのシーンだ。本塁打が出る前の「2点ビハインド」「9回表」「2アウト」「一三塁」の状況における勝利確率はわずか8.5%だったのに対し、本塁打が出た後の「1点リード」「9回表」「2アウト」「走者なし」の状況では、勝利確率は79.7%まで上昇している。

 このとき、T-岡田はオリックスの勝利確率を8.5%から79.7%に上昇させたため、差分の0.712がプラスされる。反対に、逆転3ランを打たれた益田直也はロッテの勝利確率を91.5%から20.3%に低下させてしまったため、0.712のマイナスとなる。このように、1つ1つのプレーによる勝利確率の変動を合計することで、WPAを求めている。

注意点

 計算の便宜上、攻撃側のWPAは基本的に打者(一部は走者。後述)、守備側のWPAは一律で投手に計上する。そのため、打者なら走者の打球判断や脚力、投手なら野手の守備力などの影響を受け得る。また、一打で勝利確率が跳ね上がるような“おいしい”場面で出番が来るかは、チーム状況や巡り合わせに大きく左右される。このように、選手の実力だけではコントロールしきれない要素が含まれることには、留意が必要である。

 盗塁やけん制死、暴投、捕逸など、打球が発生しないプレーで走者が進塁またはアウトになった場合、攻撃側のWPAは走者に計上する(走者が複数いる場合は、最も先の塁の走者に計上)。なお、三振ゲッツーのように当該プレーが打者の結果球でもあった場合、打席結果の分は打者に、走塁による進塁やアウトの分は走者に計上する。

 WPAは投手、野手とも同じ尺度で測ることができる指標だが、週間MVPランキングにおいては、投手のWPAと野手のWPAを合算することはしていない。そのため、投打に大活躍した選手がいたとしても、投手としての活躍と打者としての活躍は別々に扱っている。
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データスタジアム株式会社

日本で唯一のスポーツデータ専門会社。 野球、サッカー、ラグビー等の試合データ分析・配信、ソフト開発などを手掛ける。

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