エビ中・柏木ひなたが語る応援歌への思い ヤクルトに「愛」を届け、「光」を追い求める

三和直樹

コロナ禍で感じた「光」と「感謝」

昨夏の五輪期間中、新型コロナに感染し入院していた柏木さん。彼女に力を与えたのは村上らの活躍だった 【写真:ロイター/アフロ】

――昨夏の東京五輪ではヤクルトの選手の活躍もあって、侍ジャパンが見事に金メダルを獲得しました。ご覧になられていましたか?

 はい。でも私、オリンピックの期間に新型コロナに罹ってしまって、10日間ぐらい入院していたんです。なので、ずっとベッドの上から応援していました。山田選手のメキシコ戦でのホームランはものすごく感動しましたし、決勝戦での村上選手のホームランも印象的でした。個人的にはしんどい時期ではあったんですけど、侍ジャパンの戦いにすごく励まされました。

――2021年は大変なことも多かったと思いますが、その中で改めて感じたことはありましたか?

 自分たちのグループのライブが中止だったり延期になったり、私自身もお休み(9月末から3ヶ月間の休養)させていただいたりして、うまくいかないことだとか、少し苦しいとか、悔しいということを感じた時期はあったんですけど、好きな音楽をやっている時、好きなヤクルトを応援している時っていうのは、辛さを忘れることができました。例え真っ暗だと思っても、必ず「光」があると思いますし、その「光」を見つけて、信じていけば大丈夫だと思う。その「光」っていうものが、私にとっては「歌」でした。やっぱり私は音楽が好きなんだなって思いました。野球にも救われましたし、私以外の多くの人にとっても、やっぱりエンタメとかスポーツ、音楽や野球に救われている人は多いんだろうなということを感じた1年でした。

――コロナ禍による影響は様々ですが、ライブや野球においては「ファンが声を出せない」ということが大きい。声援を“受ける側”と“送る側”の両方を知っている者として感じることは?

 今まで、ファンの方に声を出して応援していただくっていうことが当たり前だと思っていましたけど、無観客のライブも経験して、本当に「寂しいな」って思いました。ファンの声援っていうのが、すごく自分たちの力になっていたんだなっていうことを改めて感じました。無観客から拍手ありの有観客のライブをできるようになった時も、みんなで泣いちゃいましたから…。でも、声を出せない辛さっていうのは、舞台の上の私たちよりも、観に来てくれているファンの方が感じることだと思います。ヤクルトファンとして、応援歌を歌えないもどかしさはすごく感じましたし、エビ中のメンバーとしては、今まで以上にファンの存在に感謝するようになりました。

2022年のヤクルトと柏木ひなた

――2022年、ヤクルトは連覇を目指すシーズンになります。どんな戦いを期待したいですか?

 私の周りでは「今年は寅年だから阪神が優勝!」っていう話をする人もいるんですけど、「そんなの関係ないよ!」って(笑)。高津監督には安心感がものすごくありますから、今年もたくさん勝ってくれると思います。でも一番は、楽しくプレーしてもらいたいということですね。私たちもライブで「ファンに楽しんでもらいたい」という気持ちでやるんですけど、そのためには「自分たちが楽しめていないといけない」っていうことをすごく感じます。プロ野球は勝負の世界ですから、勝ち負けが大切だと思いますけど、例え負けてもファンは楽しめますし、選手達には楽しんでプレーしてもらいたいです。それを続けて行けば、また優勝できると思います。大丈夫です。絶対、大丈夫!(笑)

――私立恵比寿中学の活動で言えば、昨年に3人の新メンバーが加わって、柏木さんの役割や立場というものも変わったのかなと思いますが?

 はい。今は新メンバー3人の「パフォーマンス教育係」をやらせてもらっています。6人で活動してきた時も上と下に挟まれた中間管理職みたいなところはあったと思うんですけど、その時の「下」っていうのは、私と2学年しか変わらなかった。でも、新メンバーの3人は7歳以上も離れているので、もう「妹」っていうよりも「娘」というか…、母親みたいな気持ちになっちゃうんですよね(苦笑)。でも、自分たちのグループの売りは楽曲の強さとかライブでのパフォーマンス。「嫌われていいから」と思って、宮本慎也さんの影響を受けながら、教育係をしています(笑)。でも本当、新しい3人が一生懸命についてきてくれて、昨年末のライブでは9人の新体制として、とってもいいライブができたんじゃないかなって思っています。

――柏木さん個人にとっても、今年はソロライブを全国6都市で開催(2月〜3月)するなど新たなチャレンジの年でもあると思います。3月29日には23回目の誕生日を迎えますが、どんな1年にしたいですか?

 う〜ん、やっぱり、楽しい1年にしたいです。このご時世、どうしても暗いニュースとかがたくさん入ってきて、辛いこととか悲しいこと、苦しいことっていうのは、みんなあると思うんですけど、誰にでも、どこにでも、必ず「光」っていうものはあると信じていますし、私自身もその「光」を大事にして行きたい。そして、楽しい、うれしいっていう感情をファンの方とたくさん共有していきたいなと思っています。

――最後に、野球界にメッセージをお願いします。

 コロナ禍が続いている中でも、いろんな努力とか工夫をして、私たちだったらライブを、野球だったら試合を開催してくれていることが本当にありがたいと思っています。野球の試合を楽しみに、「今日も頑張ろう!」って思っている人ってたくさんいると思いますし、私もそのひとりです。選手が頑張っている姿を応援することで、ファンも頑張れる。お互いがお互いを支えていると思います。だからこそ、早くコロナが収まって、ライブ会場でも野球場でも、また思いっきり声を出せる日が早く戻ってきて欲しいです。たぶん、泣くと思うんですよ。神宮で、たくさんのヤクルトファンの方と一緒に応援歌を歌ったら、たぶん泣くと思う。ずっと我慢して来たものが一気に弾けると思いますし、その日が来るのがものすごく楽しみです!

柏木ひなた(かしわぎ・ひなた)

【写真提供:スターダストプロモーション株式会社】

1999年3月29日生まれ、千葉県出身。2010年私立恵比寿中学に加入し現在も活動を続ける。3月23日には7枚目のFull Album「私立恵比寿中学」発売。4/16(土)よりJ:COMホール八王子を皮切りに、全国14会場を巡る春ツアーがスタートする。

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著者プロフィール

1979年1月1日生まれ。大阪府出身。学生時代からサッカー&近鉄ファン一筋。大学卒業後、スポーツ紙記者として、野球、サッカーを中心に、ラグビー、マラソンなど様々な競技を取材。野球専門誌『Baseball Times』の編集兼ライターを経て、現在はフリーランスとして、プロ野球、高校野球、サッカーなど幅広く執筆している。

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