連載:プロ野球「2022年、期待の外国人選手」

セ・リーグ新外国人「期待度ランキング」 1位は5ツールを備えた巨漢の外野手

宇根夏樹

オープン戦では最初の2登板で好投。メジャーに行ったスアレスに代わる新守護神として期待される阪神・ケラー 【写真は共同】

 今季、NPB初参戦となる新外国人選手のうち、1年目から活躍が見込めるのは誰か。アメリカ野球に精通する宇根夏樹氏に、これまでの実績や近年のパフォーマンスに、環境への適応力、所属球団のチーム事情なども加味して、特に期待できる10人の選出と順位づけをしてもらった。今回はセ・リーグ編をお届けする。

10位:コール(ヤクルト/投手)

昨季はマイナーからのスタートで、5月にメジャー契約。ブルージェイズでは怪我もあり6試合の救援登板にとどまったが、防御率1.13の記録を残した 【Getty Images】

 2010年代の中盤までは先発投手として期待され、マイナーリーグに詳しい『ベースボール・アメリカ』などの「プロスペクト・トップ100」にランクインしていた。過去4年はマイナーでも主にリリーフとして登板。ヤクルトでは先発の予定ながら、アンドリュー・スアレスも加わり、役割は確定していない。
 
 球種は多く、4シーム、スライダー、カッターを中心に、カーブとチェンジアップも投げる。先発の場合、速球は平均92マイル(約148.0キロ)程度になると思われる。制球難による自滅はなさそうだが、フライ系の投手なので神宮球場に向いているとは言い難い。

9位:マクブルーム(広島/内野手)

昨季、3Aで32本塁打を放ったパワーヒッターは、鈴木誠也に代わる広島の新4番候補。珍しい左投げ右打ちだ 【写真は共同】

 広島を去り、韓国のSSGランダースに入団したクロンと同じく、パワーを売りとする。2020年にメジャーの36試合で6本塁打、昨年はカンザスシティ・ロイヤルズの3Aでこのクラス最多の32本塁打を記録した。主に一塁を守る点もクロンと共通し、背番号はクロンの「10」を受け継いだ。もっとも、同じ道をたどるとは限らず、大当たりの可能性もある。

 19年の秋には、野球専門の米データサイト『ファングラフス』のデビッド・ローリラに「僕は遅咲きなんだ。高校でも大学でもプロでも」と語っており、昨年のアーチ量産が日本でも続くかもしれない。

8位:ウィルカーソン(阪神/投手)

 4シームの平均球速は90マイル(約144.8キロ)に届かず、ゾーンに投げ分けるコントロールよりも細かい、ピンポイントのコマンドで勝負する。全体からすると変化球3種の割合は均等に近いが、右打者にはスライダー、左打者にはチェンジアップとカーブが多い。

 マイナーでは主に先発として投げていて、2018年以降の3Aの成績は、48先発と7救援の計260.2イニングで防御率3.35。昨年の19先発中18試合は、与四球を2以下にとどめた(他1試合は与四球3)。エース級ではなく先発3番手クラスとして見ておけば、その期待に応えることはできるはずだ。

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著者プロフィール

1968年生まれ、三重県出身。MLB専門誌『スラッガー』元編集長で、現在はフリーランスのライター。著書に『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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