連載:センバツ2022「完全予習」

センバツ出場・近畿勢の注目選手7人 大阪桐蔭の要、市和歌山・小園の後継者…

沢井史

森健人(東洋大姫路3年/投手)

東洋大姫路を2011年の夏の選手権以来となる甲子園に導いたエース。近畿大会1回戦では智弁学園を相手に完封勝利を飾った 【沢井史】

 1年生の時は怪我続きで実戦経験はほとんど積めなかったが、昨春の県大会前の練習試合から徐々にマウンドに立つようになり、ピンチでも内角をえぐるような強気な攻めを披露。上級生投手顔負けのマウンド度胸があり、早くから藤田明彦監督からの信頼を得ていた。普段からポーカーフェイスで、ピンチでも表情を崩さない。

 昨秋の近畿大会の準々決勝では、結果的に大阪桐蔭打線に打ち込まれたが、「自分の思うコースには投げられていたし、手応えはあった」と振り返る。怪我で追い込めなかった昨冬とは違い、今冬はランメニューなどで下半身をいじめ抜いた。身長170センチと小柄だが、マウンドに立てばサイズ以上に大きく見える。舞台が大きくなってもポーカーフェイスを貫き、今春で勇退する藤田監督と1日でも長く甲子園で戦うことを強く誓う。

岸本紘一(金光大阪3年/捕手)

 前チームからの正捕手で、チームの精神的支柱のような存在だ。横井一裕監督は「経験はありますが、それまでは根負けすることが多かったのに、新チーム結成以降はリードに粘りが出てきました」と岸本の存在の大きさを認める。派手さはないが、初球から積極的に振り切り、チャンスに強い4番打者としても気を吐く。

 エースの古川温生とは前チームからバッテリーを組むが、古川を知り尽くしているからこそ強気なリードもできる。「ピッチャーのことをきちんと理解してリードできる。ブロッキングやショートバウンドの捕球も相当練習していたと思う」と指揮官。秋の大阪府大会決勝では大阪桐蔭に圧倒されたが、粘り強く食らいつく金光大阪の野球を体現できる大黒柱は、初の聖地でもしぶとく泥臭い野球で、まずは同校の甲子園初勝利を目指す。

平野順大(京都国際3年/右翼手&投手)

“左の二刀流”森下とはいわば二枚看板。秋は主に4番を打ち、投手としては京都府大会決勝や近畿大会準々決勝で先発のマウンドに立った 【写真は共同】

 京都国際はエース左腕の森下瑠大投手が大注目だが、前チームから右のエースとしてマウンドに立ってきたのが平野順大だ。昨春のセンバツではエース番号をつけたが、帰郷後に腰を痛めてフォームを崩した。治療しながら何度か先発マウンドにも立ったが、夏、秋の公式戦は制球に苦しんで早々に崩れ、森下にマウンドを譲る試合も多かった。

 ストレートは最速145キロ、常時130キロ後半をマークし、キレで勝負できる。昨秋の公式戦が終わって以降の練習試合では徐々に調子を取り戻し、小牧憲継監督も「冬以降は森下より状態がいい」と期待を寄せる。森下が投げる試合では右翼手もしくは一塁手として出場。力強い打球を左右に打ち分け、昨秋は.423の打率を残した。京都国際は森下だけじゃない。“右の二刀流”の平野の一投一打がチームの浮沈のカギを握る。

(編集注:京都国際は部内の13人が新型コロナウイルスに集団感染したため、17日に出場辞退を発表した)

(企画構成:YOJI-GEN)

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著者プロフィール

大阪市在住。『報知高校野球』をはじめ『ホームラン』『ベースボールマガジン』などに寄稿。西日本、北信越を中心に取材活動を続けている。

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