連載:プロ野球・好きな球場ランキング

テレビ朝日・清水俊輔アナウンサーが選ぶ好きな球場ランキングと実況席の裏話

大利実

京セラドームは打球判断が難しい

――逆に、打球の判断がしづらい球場はありますか。

 京セラドーム大阪ですね。実況席がかなり高いところにあるので、フライの感覚が難しい。実況の回数が少ないこともありますが、「ホームラン!」と思った打球が平凡な外野フライになることが何度もあります。

――何か対策はしているのでしょうか。

 バッティング練習中はあえてグラウンドに下りずに、放送席に座って、打球感を磨くようにしています。打った瞬間に、「ホームラン!」「フェンス直撃!」とボソッと口に出す。最初は全然合いません。

――素朴な疑問ですが、モニターで確認することはないのですか?

 ピッチャーが投げた瞬間に、手元のモニターに目を落として、コースや球種を確認しています。バットにボールが当たるまではモニターを見て、当たった瞬間にグラウンドに視点を切り替える。どの球場でもそうですが、モニターでバッターを見て、バットに当たった瞬間に肉眼で打球を確認する。その繰り返しです。モニターだけでは、野手や走者の動きが分かりづらいので、打ったあとは肉眼で見るようにしています。

「先読み」するテレビ朝日の中継

プロ野球中継20年のベテラン! 心のこもった実況が好評の清水俊輔アナウンサー 【写真はテレビ朝日】

――非常に面白い話をありがとうございました。今年もコロナ禍が続き、入場制限がかかる可能性があります。テレビ中継を楽しみにしているファンの方も多いと思いますが、アナウンサー視点での「楽しみ方」を教えていただけますか。

 テレビ朝日の野球中継は、「野球というスポーツの面白さをシンプルに伝えよう」という想いで放送しています。特に意識しているのは、先手を取って、先読みして、守備位置や選手交代を視聴者のみなさんに提示することです。監督になったつもりで、作戦や采配を楽しんでいただけると嬉しいです。

――今年も清水さんの実況を楽しみにしています。

 実況を20年やらせていただいても、ちょっとしたミスや言い間違いがゼロにならずに反省ばかりです……。

――ちなみに、SNSで実況の反応を覗くことはありますか?

 若いときは見ていましたが、最近はもう怖くて見ていません。スポーツ実況は、批判をいただくことはあっても、称賛をいただくことはほとんどない仕事だと思っています。メンタル的に、10の批判があっても、1の称賛があれば引き分けだと思うようにしています。称賛は10倍に感じるように(笑)。

――清水さんの実況が好きな方はたくさんいるはずです。とても楽しいお話をありがとうございました!

(企画構成/株式会社スリーライト)

清水俊輔(しみず・しゅんすけ)

1980年3月25日生まれ、大阪府高槻市出身。牡羊座。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学文学部卒業。2002年にテレビ朝日入社。アナウンサーになってよかったことは「喋るという技術に向き合って研究する日々を送れること」と「WBC、日本シリーズ、夏の甲子園を何回も実況できたこと」。

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著者プロフィール

1977年生まれ、横浜市出身。大学卒業後、スポーツライター事務所を経て独立。中学軟式野球、高校野球を中心に取材・執筆。著書に『高校野球界の監督がここまで明かす! 走塁技術の極意』『中学野球部の教科書』(カンゼン)、構成本に『仙台育英 日本一からの招待』(須江航著/カンゼン)などがある。現在ベースボール専門メディアFull-Count(https://full-count.jp/)で、神奈川の高校野球にまつわるコラムを随時執筆中。

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