スキージャンプをイラスト付きで徹底解説! 競技特性やルール、ジャンプ台の特徴は?

C-NAPS編集部
 悲願の金メダルを獲得し、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ1998年長野五輪スキージャンプ・ラージヒル団体戦から24年。北京五輪出場は逃したものの現役を続けるレジェンド・葛西紀明(土屋ホーム)はいまだ健在ながら、当時日本チームを率いていた選手の大半は指導者や解説者などの立場となった。

 その後、ルール改正などで一時は低迷した「日の丸飛行隊」だが、男女ともに日本では初となるワールドカップ総合王者が生まれるなど、新たな世代が台頭。北京五輪でもメダル獲得への期待が高まる。そんな注目のスキージャンプに関して、近年細かく調整されてきたルールの最新情報や競技特性、北京のジャンプ台の特徴、注目選手などについてイラスト付きで解説する。

ウエアや板は?スキージャンプの基本ルール

スキー板の長さは「BMIルール」という体格に基づいた規定によって決まる 【写真:C-NAPS編集部】

スキージャンプはより高く、より遠くへ飛んだ者が勝ちという分かりやすく、かつダイナミックなウインタースポーツの花形だ。五輪ではノーマルヒルとラージヒルという2つの異なる大きさのジャンプ台で競技が行われる。

【ジャンプ台の大きさについて】

 ジャンプ台はK点と呼ばれる建築基準点(ドイツ語でKonstruktionspunkt)によってその大きさが決まる。K点が75〜95mのジャンプ台をノーマルヒル。105〜125mのジャンプ台をラージヒルと呼ぶ。サイズが大きいラージヒルは、ノーマルヒルと比較して滞空時間が長く、雪や風といった自然条件の影響を受けやすい。ノーマルヒルとラージヒルは隣接して建設されている場合がほとんどだ。

【北京五輪会場のジャンプ台の特徴とは?】

 北京五輪のジャンプ台は2021年12月に初めてメディア公開された。優美な曲面を描くジャンプ台は、空を舞う天女を描いた敦煌(Dunhuang)の古代壁画「飛天」をイメージし、「雪飛天(Xuefeitian)」の愛称を持つ。また、夜にライトアップされるとジャンプ台を横から見た形状がヒールの高い靴のように見えることから「クリスタルシューズ」とも呼ばれている。

 着地地点は人工雪で固められ、助走路はアイストラックと呼ばれ氷で作られている。人工雪による懸念もあるが、影響は着地の際だけで、自然雪と人工雪の違いによる競技への影響はほとんどない。また、助走路に関しても国際大会ではほとんどのジャンプ台がアイストラックを採用しているため選手が感じる影響は少ないと予測されている。

【スキー板の長さについて】

 スキージャンプで使用されるスキー板は非常に軽く作られており、幅は10.5cmほど。このスキー板が長ければより大きな浮力を得られるので有利とされている。実際のスキー板の長さは選手の身長とBMI(体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))によって決まる。BMIが21以上であれば身長に対して145%という最大値の長さのスキー板を履くことができ、21を下回ると身長に対して履ける長さの割合が下がっていく。

 長野五輪以降にこの身長に対するスキー板の長さのルールが変わり、長身の選手がより長いスキーを履けるようになった。欧州に比べて長身選手の少ない日本は低迷。また、以前は体重の規定はなく、過度な減量による健康上の弊害を防ぐためにこのルールが定められた。そのため、選手たちはBMI21を切らないように体重管理を徹底している。

【ユニフォームについて】

 スキージャンプは、ジャンプスーツと呼ばれるサーフィンのウェットスーツのようなユニフォームを着用。ジャンプスーツもサイズ感に余裕があると大きな浮力が得られるため、サイズや通気性に厳しいルールが定められている。現在の規定はヌードサイズから厚さ4〜6mm以内、通気性は40ℓ/m²/秒以上と決まっている。通気性に関してはスーツを使用すればするほど、生地がへたり、浮力を最大化することができなくなるため、選手は頻繁にジャンプスーツを入れ替えるのも特徴。ヘルメットは他のスキー競技と同様に軽量化されたものが使用される。

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著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

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