スキージャンプをイラスト付きで徹底解説! 競技特性やルール、ジャンプ台の特徴は?

C-NAPS編集部

どうすれば遠くに飛べる?飛距離のコツとは

スキージャンプは主に4つの要素が絡み合うことで、飛距離が変わるのが特徴だ 【写真:C-NAPS編集部】

 スキージャンプは大きく分けると助走、踏切、ジャンプ(空中姿勢)、着地という4つの要素で成り立っている。それぞれの要素の最大化が飛距離を伸ばし、高い得点を叩き出すことにつながる。

【助走】

 助走は姿勢を低くすることでスピードが最大化される。助走スピードはラージヒルで時速80〜90kmほど。助走スピードが速ければ速いほど有利になるため、助走姿勢だけでなく、スキー板の裏面に塗布するワックスにもこだわる選手が多い。

【踏切】

 踏切地点により大きな力を加えることで素早く空中姿勢に入り、高い飛行曲線を描くことができる。より大きな力を加えるには時速80〜90kmの中、踏切タイミングを合わせることが重要。踏切タイミングが速くても、遅くても、力の伝わり方は半減してしまう。
 
 また、助走路の曲線部分でかかる重力を効率良く押し返すことも重要で、踏切は一見すると飛び跳ねるように見えるが、ウエイトトレーニングでバーベルを押し返すようにして選手は踏み切る。

【ジャンプ(空中姿勢)】

 空中では進行方向に対して体、スキー板が平行からやや上向きになることで、揚力を最大化し、前方方向への抗力を最小化できる。また、揚力を最大化するためにスキーを大きくV字に開くが、近年は手も体からわずかに離して揚力を最大化するムササビのような飛び方をする選手も多い。

【着地】

 着地は両手を広げ、脚を前後に開くテレマーク姿勢をとることにより飛型点の減点対象とならずに高い得点へとつなげる。しかしながら、飛距離が出れば出るほど着地の衝撃は大きくなりテレマーク姿勢をとるのが難しくなるのが見どころ。トップ選手はHS(ヒルサイズ)に迫るジャンプをしてもテレマーク着地を決める。

日本が誇る男女二大エース!小林陵&高梨に注目

「金メダルに最も近い選手」と評される小林。「日の丸飛行隊」復権のカギを握るエースだ 【写真:C-NAPS編集部】

 日本選手の注目はなんといっても、男子の小林陵侑(土屋ホーム)、女子の高梨沙羅(クラレ)だ。小林は、今季はワールドカップ(W杯)ですでに6勝。個人総合でも2位に位置するなど好調をキープしている。「金メダルにもっとも近い選手」という前評判通りの力を発揮することはできるのか。

平昌五輪での銅メダルに続く、2大会連続でのメダル獲得が期待される高梨 【写真:C-NAPS編集部】

 一方の高梨は、W杯で男女通じて歴代最多の61勝、男女歴代最多となる表彰台110回という抜群の実績を誇る。2018年の平昌五輪では銅メダルを獲得しただけに、北京ではより輝く色のメダルが期待される。

 小林、高梨の両名ともに日本選手では誰も成し遂げたことのなかった偉業であるW杯総合優勝を果たすなど、世界が認めるトップ選手だ。両選手ともに今季のW杯でも優勝するなど結果を出しており、1998年長野五輪の船木和喜以来となる個人の金メダルにも大きな期待がかかる。

世界の潮流や日本の立ち位置・メダルの可能性

 1998年の長野大会からスキージャンプの勢力図は大きく変化。かつて強豪国であったフィンランドはエースであるヤンネ・アホネンの引退後に低迷し、一強とも言われたスター集団・オーストリアもかつての勢いを失いつつある。そんな中、ドイツ、ポーランド、ノルウェー、スロベニアの若手が台頭し、国別の実力差が均衡。日本も長野五輪をきっかけにスキージャンプのキャリアをスタートした若手世代が台頭し、W杯の団体戦で表彰台に上がるなどして実力をつけている。北京五輪でのメダル獲得の可能性は十分にあると言える。

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著者プロフィール

ビジネスとユーザーを有意的な形で結びつける、“コンテキスト思考”のコンテンツマーケティングを提供するプロフェッショナル集団。“コンテンツ傾倒”によって情報が氾濫し、差別化不全が顕在化している昨今において、コンテンツの背景にあるストーリーやメッセージ、コンセプトを重視。前後関係や文脈を意味するコンテキストを意識したコンテンツの提供に本質的な価値を見いだしている。

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