頼れるキャプテン・坂本勇人の攻略法は? 糸口は“リーグ最低打率”のゾーンにあり
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歴代:巨人在籍時通算安打ランキング
昨季の坂本は右手親指の骨折などもあって、打率.271、19本塁打とやや物足りない成績だったかもしれない。それでも、東京五輪ではドミニカ共和国との初戦でサヨナラ打を放つなど、大一番で勝負強さを発揮。侍ジャパンの中心選手として金メダルの獲得に大きく貢献した。今季はキャプテンとして8シーズン目を迎え、リーダーシップにも優れる誰もが認めるスタープレーヤーだろう。
2021年:9分割ホットゾーン
そこで、高低別の打率を改めて確認すると、高めの打率.136は規定打席到達者の中でリーグワーストだった。これに対して、低めの打率.308は同トップと高い対応力を見せている。確かに、坂本が低めのボールに体勢を崩されながらも、左手一本でヒットを放つ光景はよく見られた。高低でこれほど極端な傾向があれば、得意とする低めは極力避けて、高めを中心とした攻め方が良さそうである。
ところが、実際には坂本に対しては低めの投球が多くなっている。昨季は高めから低めにかけて順に30%、25%、45%という投球割合となっており、この数字はリーグ平均とほとんど変わらなかった。高めの打率がわずか.136にも関わらず好成績を残せているのは、得意とする低めに投球の45%が集まっていたからだろう。坂本を抑えるためには、低めの割合を減らして高めを活用する必要がある。
2021年:球種タイプ・高低別打率
まず球種を一定のタイプに分けてデータを整理したところ、基本的に高めの打率が低く、落ちる球を除くと低めの数字が良いことが分かる。この傾向からストレートなどの速い球、スライダーなど曲がる系の変化球を高めに集めることが効果的といえそうだ。特に直球系はつり球を含めて高めに投げるケースの多い球種であり、高めの打率.074と非常に有効だ。さらに2ストライクでは高めの直球系に対して29打数1安打と打てておらず、追い込んだ場面でも積極的に使っていきたいボールだろう。
一方で、スライダーやカーブなどの曲がる球は一般的に低めへの配球が中心で、高めを狙う配球はセオリー通りではない。また、ストレートなどと比較すると変化して落ちる球種であるため、高めを狙って真ん中に入るリスクも考慮したいところだ。制球に自信がある投手であれば、ボールゾーンから高めのストライクゾーンに落とすような配球を狙うのも一つの手だが、基本的にはボールが抜けても高めに収まれば打たれづらいという認識を持つ程度にとどめた方がいいかもしれない。
坂本は高めの対応に課題を抱えており、そこが攻略のポイントになるのではないか、とここまで述べた。こうした傾向をおそらくライバル球団も把握しているはずだが、先に示したように坂本の高低の投球割合には反映されておらず、工夫の余地があるように見受けられる。デビュー当時から天性の内角さばきを見せてきた坂本だけに、配球に関して横の揺さぶりに焦点が当たりやすかったかもしれないが、今季の坂本の打席では本稿のデータを参考に対戦バッテリーの高低の使い方にもぜひ注目してほしい。
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