卓球日本初の金メダリスト水谷隼 メディアに出演する理由と指導者を目指さない訳

照井雄太

セカンドキャリアでも現役同様、下調べが大事

メダリスト会見などでも軽快な語りを見せる水谷。トーク力と下調べを軸にメディアで活躍中 【写真:アフロスポーツ】

――水谷さんには、卓球選手のセカンドキャリアについても、先駆者になって頂きたいと応援している人も多いと思います。

 五輪で金メダルを獲って、肩身の狭い仕事をしていたら夢がないだろうと思っていますし、自分が卓球界ではトップの成績を残しているので、トップしか出来ないことを見せていかないと思っています。そういう意味でもテレビの仕事は華がありますし、注目されますので、五輪金メダル獲ったら夢があるよ、というのは見せたい気持ちはあります。

――現在メディアにもたくさん出演されていますが、今後の活動のイメージはありますか。

 今はテレビの仕事をメインでやっているので、1つでも仕事のオファーを頂けるように努力をしていきたいです。あとは講演会とか、講習会とか、ここ数カ月で数回やっていますが、そういった活動も継続してやりたいと思っていますし、今しか出来ないことに力を入れてやっていきたいと思っています。

――将来的にはビジネスをしたい考えはありますか。

 ビジネスをしたい気持ちはありますが、まだそこまでの熱意は持っていないですね。今は、自分のことで精一杯。テレビの世界は厳しくて、みなさんものすごく努力していますし、自分もすごく努力はしています。新しい戦いをしている感じなので、さらに新たに違うことをするという余裕がないですね。

 メディア出演のお仕事がある限りは、それに専念していかないと難しいと思っています。こうやって続けていけば、また新しいオファーを頂いたり、それがきっかけで、講演会や講習会にもつながったりするので。引き続きテレビで一生懸命やって、そこからいろいろなお仕事につながっていけたらいいなと思っています。

――テレビ出演時に努力しているとありましたが、どんなことでしょうか。

 下調べはめちゃくちゃします。たくさん番組に出演する中で、知らない番組もあるんですよ。元々そんなにテレビを見るタイプじゃなかったので、もしかしたら知らない番組の方が多いかもしれないです。いざ、出演するとなったら、事前に出演番組の過去のVTRをかなり見ます。トークの流れや体を張るのであったら、どういう感じでやるのかを確認します。

 とは共演者の方々も事前に調べるようにして、トークで活かせるようにします。下調べの多くは無駄に終わるんですけど、やらないよりはやった方がいいかなと思っていて、かなりの労力を使っています。

――テレビ出演時には、事前の下調べをかなり行うとのことですが、現役時代も対戦相手を調べるタイプでしたか。

 結構しました。まっさらな状態で入ると不安になることが多いので。安心感を得るために、自分の中でイメージしてから、いい状態で入るようにしていました。

――テレビ出演時の下調べは、無駄に終わることが多いとのことですが、卓球の場合はどうなのでしょうか。

 卓球の場合は、本当に絞って対策を練ります。サーブやレシーブのここだけとか。無駄に情報が多いと、逆に混乱を招くことが多いので。卓球の場合は、自分が知りたい部分だけの情報を入れるので、無駄がないですね。

 テレビはまだわからないことが多いので、無駄な情報を取り入れてしまうことが多いですが、卓球ではプロフェッショナルなので、対策方法も最先端をいっていると思います。今後はテレビの下調べの精度も上げていかないといけないですね(笑)。睡眠時間も削ってテレビを見ているので、上げていく必要は間違いなくあると思います。

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著者プロフィール

1986年神奈川県生まれ。滝川第二高校、筑波大学で卓球に打ち込む。卒業後は、一般企業就職後、卓球の仕事がしたいと思い、2018年10月開幕直前から卓球の「Tリーグ」に転職。Tリーグでは試合運営の他、メルマガのコラム担当し、また不定期でスポーツメディアの卓球コラムを執筆している。

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