キャスター寺川綾は“ザ・自然体” 選手への取材で大切にしていることとは?
選手の気持ちが分かるからこそ、難しい線引き
『報道ステーション』でスポーツキャスターを務めて6年目。「今も失敗だらけですよ」と言う寺川さんだが、その明るい笑顔に癒されているファンは多いはずだ 【写真:本人提供】
いえ、まったく(笑)。
――それはまた、なぜ?
初めて日本代表になった時に密着取材をしてくださったテレビ局の方が、(13年に)私が引退を決めてから連絡をくださったんです。「これからも水泳に携わっていくと思うけど、いろんな形で一緒にお仕事をやっていきましょう」って。そこからあれよあれよと話が進んで、報ステ(報道ステーション)のお話もいただけたんです。最初は少し迷いもあったんですが、いろんな人に「やりたいからってできる仕事じゃない」と背中を押されて……、というか「やってみろー!」って押し倒された感じですね。
――現役時代、メディアにはどんなイメージを抱いていましたか?
良くはなかったです(笑)。メディアはいろんな話題を作らなきゃいけないお仕事だと思いますが、「そこまで言わなくても」とか、「そんなこと聞かなくても」っていうことがたくさんあったので。私たち選手とは真逆の立場にいる人たちなんだなっていう認識でしたね。
――それが今では、反対側の立場になった。
なので、報ステを始めたばかりの頃はすごくバリアを張っていましたね。でもチームの中に入って、実際に番組作りのプロの方たちの働く姿を見ていたら、率直に「すごいな」って。それにスポーツ局で何かの競技の中継が始まると、みんな映像に見入って声を上げて応援するんですね。本当にスポーツが好きな人たちの集まりなんです。だから、「誤解していてごめんなさい」って(笑)。この人たちと一緒にスポーツの魅力を伝えていけるのは素晴らしいことなんだって、最初のうちに気付けたのは良かったですね。
――悪いイメージは消えましたか?
そうですね。みんなスポーツが大好きですし、良いチームに入れてもらえました。
――取材される側からする側へ立場が変わって、難しさは感じていますか?
難しさは常に感じています。たとえばインタビューで、選手の心を傷つけないように聞くにはどうしたらいいか。踏み込んでいいところと、そうじゃないところの線引きが、(アスリートの気持ちが)分かるからこそ難しい部分はありますね。
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