「スポ止め」×室伏スポーツ庁長官 スポーツ界が抱える課題の解決へ

大島和人

「スポーツを止めるな」がスポーツ庁INNOVATION LEAGUEコンテストのパイオニア賞を受賞。室伏広治スポーツ庁長官(右端)との懇談会が行われた 【スポーツナビ】

 コロナ禍に立ち上がったある挑戦が、2021年2月にスポーツ庁INNOVATION LEAGUEコンテストにて「パイオニア賞」を受賞した。その名は「#スポーツを止めるな」である。

 3月9日にハンマー投げの金メダリストでもある室伏広治スポーツ庁長官と「一般社団法人スポーツを止めるな」の理事による懇談が行われている。

 野澤武史、最上紘太、伊藤華英の3理事は「HANDS UP」「1252プロジェクト」「スポ止めカップ」について長官にプレゼンテーションを行い、同時にスポーツ界が抱える課題を長官と論じあった。室伏長官と伊藤理事が女性アスリートの抱える困難について“オリンピアン同士”のやり取りを行うなど、実例を元に内容の濃い対論が行われている。

室伏長官「コロナ禍で選考する試合、アピールする場が…」

野澤武史代表理事が実際の画面を見せながら「HANDS UP」を室伏長官に説明 【スポーツナビ】

野澤武史 今40団体くらいここに入っています。(実際の画面を見せながら)これは大阪体育大学さんの動画ですが、どのようなチームか個別のデータを入れられます。どこにあるか、こんな競技があるという情報が入っています。下にチャットがありますので、「僕はすごく興味があります」という子は、チームへダイレクトに連絡ができます。

最上紘太 今日も3校くらい説明会をやりました。学校単位で、例えば縁のあるラグビー部の先生にお願いして、学校の中で横にお声がけをいただいています。

野澤 今日は柔道、ラグビー、剣道で話をしました。この前は調理部も参加してくれました。マネジャーとして大学に枠がないかという狙いです。

最上 いろんな大学とか高校に、選手を見る側としても登録していただきたいですし、子どもたちが自分の意思で登録してくれるといいなと思っています。自分をアピールするためのコンテンツを作って登録するプロセス自体もすごく人生にとって意味のあるものになります。

野澤 説明会をすると、大体仮登録まではいきますけど、動画を一生懸命作るので時間もかかります。まだ60人しかアップされていないですけど、そこはまず皆さんに頑張ってもらいたい。その手助けも考えていますが、まず自らがチャレンジすることに意味があるかなと思っています。それに学校の先生より生徒さんの方が(動画の作成は)ずっとうまいので。

(実際の画面を見せながら)2分3本を上げられるんですけれど、これで結構、魂を込められます。1本の動画は自分の(競技以外の)プレゼンテーションでもいいかなと思っています。自分がどういうパーソナリティーで、どういうことを考えているのか。アピールしてもらってもいい。次のステージの方はそれを見て「この子のプレーを見てみたい」と感じるかもしれません。

室伏広治長官 コロナ禍で選考する試合、アピールする場がなくなってしまいました。我々みたいな陸上、伊藤華英さんの水泳は記録やタイムが出ますけど、これは素晴らしい取り組みですね。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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