井上尚弥「アマの素晴らしさを見せて」 プロも認めた五輪代表、大きな収穫を手に
新型コロナウイルスと戦う医療従事者や患者を支援するため、井上尚弥や八重樫東ら歴代チャンピオンたちが集まった 【写真提供:LEGEND実行委員会】
選手や関係者、報道陣だけでなく、来場した2548人の観客全員がPCR検査を受け、新型コロナウイルスの感染拡大に万全の注意を払って実施。普段は見られないエキシビションマッチが続き、ボクシングファンを楽しませた。
プロと対戦した五輪代表「普段できない経験に感謝」
対外試合ができない中、東京五輪代表にとって貴重な機会となった(写真左が森脇) 【写真提供:LEGEND実行委員会】
「RIZINみたいでした(笑)。これくらい観客が多いのは、過去に1回あったくらい。東京オリンピックをやる前に、このような群衆の中で拳を交えられたのは良かったです」
そう話したのは、2012年ロンドン五輪の村田諒太以来となるミドル級代表として内定している森脇唯人だ。WBOアジアパシフィックスーパーウェルター級王者の井上岳志との対戦では「プロに対してハンデがあるのは嫌だった」と、ヘッドギアを付けずに登場。高校、大学の先輩で、過去に100ラウンド以上スパーリングをやってきたという井上と1年以上ぶりに拳を交え、東京五輪に臨む上で貴重な経験を積んだ。
「井上さんはすごいフィジカルを持っていますし、海外ではああいう選手も多いので、そこをさばけるような展開を自分で作らないといけない。技術面に関して、そういうところが勉強になりました」
プロ無敗の佐々木に対し、技術力の高さを見せつけた岡澤(写真右) 【写真提供:LEGEND実行委員会】
「すごく大きな会場でやらせてもらえて、普段できない経験をさせてもらったことに感謝しています。東京オリンピックという大きな舞台に向けて、テスト的な意味でも大きなものでした」
もともと2020年に開催されるはずだった東京五輪はコロナ禍で1年延期、そして森喜朗組織委員会会長の女性蔑視発言など“逆風”にさらされるなか、岡澤は改めて強い決意を明かした。
「いろんなことがあって東京オリンピックはできないんじゃないかという人が多いし、マイナスなことも多いですけど、だからこそこういうイベントでスポーツには世の中に与えるものがあると見せたい。僕らが東京オリンピック開催に向けてできるのは、そういう姿を見せることだけだと思います。少しでも僕らが頑張って、今日この会場に来た一人でも多くの人が『東京オリンピックをやっていいんじゃないか』と思ってくれれば最高です」
実力の違いを見せた井上
2020年10月の試合以来となる姿を一般来場者に見せた井上。まだ決まらない次戦へ弾みをつけた 【写真提供:LEGEND実行委員会】
井上はアマチュア時代にロンドン五輪出場を逃した経験がある。エキシビションマッチの後には、井上自身が東京五輪に臨む面々へこうエールを送っている。
「ハイテンポな、アマチュアらしい素晴らしい試合を期待しています。アマチュアの素晴らしさを東京オリンピックで見せてもらえたらと思います。自分はオリンピックに出られなかったので、そういう意味でも楽しみにしています」
東京五輪ライト級代表として内定している成松大介は11日朝に発熱して欠場したものの、森脇、岡澤というメダル獲得を期待される二人は、本番まで半年を切るなか大きな収穫を手にした。
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