高校サッカー選手権 見逃し厳禁の「注目校」&「注目選手」は?

本命・青森山田の数少ない不安材料とは? 対抗馬は“リベンジ”を誓う昌平と履正社

吉田太郎

高校サッカー界を代表する存在となった青森山田。1年生ながら前回大会で4得点を挙げた松木(10)など今年度もタレントは充実するが、数少ない懸念材料は── 【吉田太郎】

 2020年度大会の高校サッカー選手権で本命に推されるのは、過去5大会で4度のベスト4入りの実績を誇る青森山田だ。今大会もタレントは粒ぞろいだが、ただしコロナ禍の影響で強豪校との対戦が少なく、チームをブラッシュアップしきれていない印象もある。「打倒・青森山田」を掲げるライバルたちは虎視眈々だが、その筆頭候補が初優勝を目指す昌平と履正社だ。前者は前回大会の、後者は夏のユース大会のリベンジに燃えている。

厳しい戦いを経験できなかった青森山田

 第99回全国高校サッカー選手権が、12月31日に開幕する。

 今大会で本命視されているのは青森山田(青森)だ。過去5大会で4度のベスト4入り。16、18年度大会で優勝し、前回大会では準優勝だった。

 その強さの源となっているのが、高校年代最高峰のリーグ戦、プレミアリーグでの経験だ。Jリーグのクラブユースチーム、高体連のトップチームと対戦するなかで、ショートカウンター、ポゼッション、サイド攻撃など多様なスタイルを習得。さらに、相手に守りを固められたときの戦い方を学び、セットプレーからの得点パターンも増やしたチームは、プレミアリーグEASTにおいて過去5年連続で3位以内をキープし、二度のプレミアリーグチャンピオンに輝いている。

 そうしたなかで、昨年の武田英寿(現・浦和レッズ)など、毎年のようにその年代でトップクラスと呼べるタレントを輩出。こうして青森山田は、他の名だたる強豪校を抑え、近年の高校サッカー界を代表する存在となったのだ。今年は新型コロナウイルスの影響でプレミアリーグが中止となったが、公式戦は全勝。練習試合でも勝ち続けた。

 今年度のチームで一番の注目株は、U-19日本代表候補で浦和入団が内定しているセンターバック(CB)の藤原優大だが、他にも前回大会で1年生ながら4得点を挙げ、今年は10番を背負う松木玖生、いわてグルージャ盛岡内定の大型左サイドバック(SB)、タビナス・ポール・ビスマルク、スーパープリンスリーグ東北の6試合で14得点をたたき出したMF安斎颯馬、対人の強さとロングスローが魅力の右SB内田陽介など好タレントがめじろ押しだ。そんな力のある選手たちが、ライバル校以上のハードワークを徹底。切り替えの速さ、球際の強度、運動量、さらには的確な声で、対戦相手を飲み込んでしまう。

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 ただ、青森県予選で24連覇を達成した青森山田だが、毎年のように県予選は「負けられない」重圧の中での戦いとなっている。特に近年の決勝では、八戸学院野辺地西が健闘。一昨年は2-1の辛勝、昨年は0-0からのPK戦の末に全国切符を勝ち取った。

 そして今年の予選決勝も、前半をスコアレスで折り返す。コロナ禍で練習量が不足していることも影響したのか、今大会の都道府県予選では前回日本一の静岡学園(静岡)を筆頭に、前橋育英(群馬)、尚志(福島)といった強豪校が敗れる波乱が相次いだ。青森でも同じことが起きるのではないかと、前半を終えたときにはそんな空気も漂っていた。しかし、青森山田は動じなかった。結局、後半に入ると松木の先制点を皮切りに3ゴールを奪って勝利(3-0)している。

 対戦した八戸学院野辺地西の三上晃監督は、「強かったです。常に(危険な)ロングスローやコーナーキックが来るので」と、体感的には昨年以上だったという青森山田の強さを認めている。

 一方で、不安がないわけでもない。例年の青森山田はプレミアリーグの戦いのなかで課題を見つけ、その芽を一つひとつ潰してきた。だが、今年のリーグ戦の対戦相手は東北地域限定。公式戦で厳しい戦いを経験できなかった。黒田剛監督は県予選決勝後、こう指摘している。

「今年はプレミア(リーグ)もなかったし、強豪チームと試合をする機会がなかったので、守り慣れていない部分が出ていた。ちょっと、やってはいけないミスもあった」

 予選終了後は強豪との対戦機会を増やし、12月の練習試合ではJFLのいわきFCにも2-1で勝利しているが、本番に向けてどれだけチーム状態を研ぎ澄ませられるかが、2年ぶりの全国制覇の鍵となりそうだ。

 キャプテンの藤原は、「王座を奪還したい。まずは自分たちが1年間積み上げてきたものをラストで確認して、選手権のピッチで120パーセント出せれば」と意気込みを口にする。青森山田らしく貪欲に学ぶ姿勢を失わず、選手権決勝のその日まで成長を続ければ、頂点にも返り咲けるはずだ。

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