本命・青森山田の数少ない不安材料とは? 対抗馬は“リベンジ”を誓う昌平と履正社
「こんなに成長したぞ」って見せつけたい
選手権出場は4回目と歴史の浅い昌平だが、「打倒・青森山田」の一番手に推される。鹿島内定のキャプテン・須藤(10)を中心としたアタックは実に多彩だ 【吉田太郎】
反対側のブロックでは、因縁のある2チームが決勝での青森山田撃破を狙っている。そのひとつが、対抗馬の一番手にも挙げられている昌平(埼玉)だ。選手権出場はまだ4回目と歴史は浅いが、タレント充実の今年は優勝候補の一角に推す声が少なくない。
※リンク先は外部サイトの場合があります
初の日本一を目標に掲げる昌平にとって、前回大会の準々決勝で敗れている青森山田は、越えなければならない壁だ。須藤、小川、小見、柴はいずれも昨年からのレギュラーで、2-3で惜敗した青森山田戦も経験している。
「正直、去年の自分は何もできなかったというか、青森山田相手に自分のプレーが何も通用しなかったという印象が強い。本当に決勝で戦えたら、『こんなに成長したぞ』って見せつけてやりたいと思います」
ボランチの小川は、そう言葉に力を込める。
大会屈指のドリブラーと言われる須藤は、1年前に感じた青森山田の強さについて、こんなふうに分析している。
「メンタル面で一人ひとりが強いものを持っているし、『絶対に勝てる』という気持ちを感じました。入りから全然違っていて、大舞台に慣れている選手も多かったですね」
昨年の昌平は埼玉県リーグ所属で、インターハイ予選も敗退。経験値の部分でも青森山田とは大きな差があった。しかし、前回の選手権を経験し、今年はレベルの高いプリンスリーグ関東でも戦ってきた。昨年とは違う。予選でのパフォーマンスは決して納得できるものではなかったようだが、ここから状態を上げ、一戦必勝でファイナルまで勝ち上がりたいところだ。
須藤は青森山田を「最強の敵」と認めたうえで、こう語っている。
「去年よりもノビノビやれると思います。青森山田と昌平の試合って誰もが見たいカードだと思いますし、注目されるなかで自分たちが勝てば盛り上がるでしょう」
まずは目の前の戦いに集中。そして、最後は地元・埼玉スタジアムで青森山田にリベンジを果たしたい。
青森山田の基準でやらないと日本一は無理
湘南内定の平岡を筆頭に充実の戦力を誇る履正社だが、8月の和倉ユース大会では青森山田に連敗。その経験を糧に、選手権の大舞台でリベンジを果たしたい 【吉田太郎】
湘南ベルマーレ内定のボランチ、平岡大陽などを擁し、攻守ともに充実の戦力を誇る今年の履正社。とりわけ前線には、府予選4戦連発の神田拓海や、ポストワークに優れた李晃輝をはじめ、異なるタイプの個がそろっている。和倉ユース大会ではドリブラーの井谷洸一郎が自慢の突破力を示したが、青森山田の立ち上がりの迫力やセットプレーの強さに対抗できず、結局は連敗。それでも、敗戦から学んだことは決して無駄にしない。
主将のMF赤井瞭太は、「青森山田とやってからは、選手たちも目つきが変わりましたし、『その基準でやらないと日本一は絶対に無理やぞ』っていうことは、選手間で言い合ってきました」と話す。
球際の強度や切り替えのスピードなど、体感した青森山田のレベルを忘れず、そこに到達することを目標に掲げ、練習に取り組んできた成果は予選でも見て取れた。
激戦区・大阪の予選ではリードを許した試合もあったが、「青森山田は絶対にもっと強いぞ」、「ここで(ゴールを)返せんで、なにが全国や」と選手同士で鼓舞し合い、逆転で道を切り開いてきた。選手権の大舞台で青森山田にリベンジし、日本一の座を勝ち取ろうと、履正社は虎視眈々だ。
この他にも、打倒・青森山田を掲げて、今回の選手権に臨む高校は少なくない。各都道府県予選と同様、下馬評を覆すようなチームが現れる可能性も十分にあるだろう。果たして、2021年1月11日の埼スタで頂点に輝くのは――。
(企画・構成:YOJI-GEN)