ベッケンバウアーと比較される長谷部誠は 現代を象徴するニュータイプのリベロ
今季はブンデスリーガ最年長選手としてプレーする長谷部。彼はなぜ“皇帝”の後継者に挙げられるのか 【Getty Images】
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皇帝が成した実績
1974年の地元開催W杯を制覇した西ドイツ代表のキャプテンとしても名高いベッケンバウアー(写真中央) 【Getty Images】
「マコトはカイザー(皇帝)と呼ばれるが、フランツ・ベッケンバウアーとの比較は実に合っていると思う。ハーゼ(長谷部の愛称。ドイツ語でウサギの意味もある)は日本のベッケンバウアーだ」
これは究極の賛辞だ。それでも、謙虚な長谷部はもちろん「ちょっと大げさだと思う」と謙遜した。「ベッケンバウアーは世界的なレジェンド」と言う彼は、「自分はそうではない」と言いたいのだろう。しかし多くの人たちは、長谷部に対して別の見方をしている。
すべてを理解するために、まずはベッケンバウアーのことを知らなければならない。
ベッケンバウアーはドイツで畏敬の念を持って『カイザー(皇帝)』、もしくは『ご神体』と呼ばれる。彼が触れるものは全てが金となり、幻像が実像になる。そのエレガントな佇まいで、まるで全てを超越した者のように感じさせたのだ。“皇帝フランツ”は、誰にとってもアンタッチャブルな存在だった。
そのプレーも然りだ。冷静でもの静か。賢くて驚くほど軽快。常に先を見据え、何が起きるのかを予知し、輝くような技術を持ち合わせていた。かつてのドイツ代表のチームメートで、素晴らしいミッドフィールダーだったギュンター・ネッツァーは言っていた。
「フランツ・ベッケンバウアーはドイツサッカーの最大の幸運だ。彼以前にも彼以降にも、彼以上の選手はいない」
ベッケンバウアーは2度世界最優秀選手に選ばれ、ドイツの最優秀選手には4度輝いた。国内でも国際舞台でも全てのタイトルを手にし、選手としても監督としても欧州王者と世界王者になった。これをやってのけたのは彼の他に、ブラジル人のマリオ・ザガロとフランス人のディディエ・デシャンしかいない。
さらに特別な点は、彼がクリスティアーノ・ロナウドのようなフォワードではなく、リオネル・メッシのように得点を量産したわけでもなく、ディエゴ・マラドーナやジネディーヌ・ジダンのように艶やかな司令塔でもなく、ディフェンダー(DF)だったことである。とはいえ、ベッケンバウアーは一介の用心棒ではなく、1970年代に、これまでのセンターバックの役割を全く異なる形で解釈したニュータイプだった。
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