B2、昇格本命はパーカー加入の群馬と仙台 チーム一新した福岡がダークホースの予感

大島和人

昨年までB1の強豪・千葉で主力として活躍したマイケル・パーカーの群馬加入はバスケファンを驚かせた 【(C)B.LEAGUE】

 Bリーグの2019-20シーズンは、新型コロナウイルス感染症の影響で、3月中旬に打ち切りとなった。B2からは2チームがB1に昇格し、B2ライセンスを付与されなかった東京エクセレンスが退会。B3で勝率1位だった佐賀バルーナーズが昇格し、20-21シーズンは東西2地区制の16チームで行われる。

 今季は新型コロナの問題により外国籍選手、コーチの来日が遅れた。現在は条件が緩和されたものの、入国後2週間の隔離が要請されている。また新規契約選手は緩和が遅れ、開幕戦には間に合わない。契約済みの選手と別枠の人材を追加契約できる特例は設けられたが、序盤戦は大半のチームが選手のそろわない中で「やりくりと勝負」を両立させるチャレンジを強いられる。

 20-21シーズンのB2は「B1への昇格が2チーム/B3への降格はなし」というレギュレーションで開催される。当然ながら上位チームは例年通り、例年以上の補強で昇格を目指す。今回は昇格争いの本命、ダークホースを中心に興味深いB2チームを紹介していく。

昇格候補の筆頭は…

 西地区、東地区の計16チームを見たとき、昇格候補の筆頭として名前が挙がるチームは群馬クレインサンダーズだ。

 昨季の群馬は地元出身のベテランポイントカード(PG)小淵雅、抜群の守備を誇るシューティングガード(SG)古牧昌也らを中心に、全体4位の勝率を記録している。しかし今季はそんな強力な陣容を、半数以上も入れ替えた。昨季からオーナー企業となったオープンハウス社のアグレッシブな方針もあり、他チームを圧する投資を行っている。

 ただし強度の高い守備から、アップテンポな攻撃を狙うスタイルは昨年までと変わらない。チームの大型化が進んだことで、マークの「スイッチ」も容易となり、戦術的な幅も広がる。

 新加入選手のうち追加契約を除く8名はB1経験者。宇都宮ブレックスでプレーしていたSG山崎稜、新潟アルビレックスBBから加入したスモールフォワード(SF)上江田勇樹など、キャリアを重ねてきた人材が加わっている。

 外国籍選手も強烈でブライアン・クウェリは島根スサノオマジックで1試合平均19.6得点、ジャスティン・キーナンは秋田ノーザンハピネッツで21.1得点を挙げたB1主力級のビッグマンだ。トレイ・ジョーンズも18-19シーズンに千葉ジェッツで鮮烈なプレーを見せていたSFで、この3人をローテーションで使えるのだからそれは強烈だろう。

 サプライズはマイケル・パーカーの加入だ。07-08シーズンから日本でプレーし、15年には日本国籍を取得している帰化選手だ。外国籍選手のオン・ザ・コート(試合中の同時起用)は2名だが、パーカーはそれと別枠でコートに立てる。

 パーカーはスティールなど咄嗟(とっさ)のプレーで独特の嗅覚を発揮する選手。千葉でも主力だったがギャビン・エドワーズの日本国籍取得により、帰化選手枠から押し出されて群馬に期限付き移籍をすることになった。

 しかしパーカーは前向きで「自分は今までトップとは言えないレベルからチームを押し上げる経験をしてきた。群馬でその経験をしたい」と意気込む。プレーの質や経験はもちろんだが、練習や試合に臨む姿勢で周囲に好影響を与える人材でもある。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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