連載:新庄剛志「もう一度、プロ野球選手になる。」

新庄剛志が考える、ファースト守備論 ぼくがひとりだけ知る“捕球の名手”

新庄剛志
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第7回 新庄野球塾3――ファースト守備編

かつて10度のゴールデングラブを受賞した、守備の名人でもある新庄。ファーストのポイントとは 【写真は共同】

 ファーストの守備で難しいのが、手前で弾む低い送球への対応。
 例えば、三遊間の深いところにゴロが飛び、ショートが足を動かして逆シングルでキャッチ。ここから身体を大きくひねって、ファーストに遠投する。

 こういうときは送球が乱れやすい。
 一塁までの距離が遠く、ボールを投げるには難しい体勢になっているからだ。
 焦りも加わり、手元が狂うことがある

 こういうとき、ノーバンで思い切り投げると送球が大きく外れる恐れがある。
 そのリスクを抑えるために、一塁の手前ではずむ低いボールを投げるわけだ。
 これは悪くない選択。
 しかし、こうした低い送球をファーストが捕り損ねるシーンは多い。
 エラーが起こるのは多くの場合、ファーストの捕球姿勢が悪いからだ。

 このケース、ほとんどのファーストが送球者に向かって思い切り身体を伸ばし、グラブを目いっぱい差しだして、すくい上げるようにしてボールを捕ろうとする。
 送球とバッターランナーのかけっこになっているから、少しでも前で捕りたいのはわかるけど、これではキャッチできるボールが限られてしまう。
 身体を思い切り伸ばしているから、グラブをバウンドに合わせにくいし、横にそれたボールにはほとんど対応できないからだ。

 ファーストがボールを後ろにそらして、バッターランナーは二塁へ。
 二・三塁にランナーがいたら、一気にふたり還ってしまうだろう。
 こういう得点シーンは、プロ野球でもけっこうある。

 じゃあ、どうすればいいのか。
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著者プロフィール

1972年生まれ。福岡県出身。1990年、阪神タイガース入団。1999年の巨人戦で敬遠球を打ったことは大きな話題となる。2001年、米大リーグ球団メッツに移籍し、日本人選手で初めて投手以外の野手として登録。2002年に移籍したジャイアンツでは、日本人選手で初めてのワールドシリーズ出場を果たす。2004年、日本球界に復帰し、北海道日本ハムファイターズに入団。試合前のパフォーマンスが「新庄劇場」と呼ばれ、北海道に移転直後の日本ハム人気を盛り上げる。2006年、シリーズ開幕直後に引退宣言。日本ハムを日本シリーズ優勝に導いた。2019年11月、プロ野球選手として現役復帰を目指すことを宣言する。著書に『わいたこら。』(学研プラス)など。

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